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藤原新「復帰戦へ…五輪で負け、ずぶとく」

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ロンドン五輪の男子マラソンに日本のエースとして出場しながら、2時間19分11秒の45位と惨敗した藤原新(ミキハウス)が12月2日の福岡国際マラソンに出場する。約4カ月ぶりの復帰戦に向けての胸の内は――。(聞き手は編集委員 吉田誠一)

ロンドン五輪の敗因は…

――8月12日のロンドン五輪はランニングフォームが崩れていたというが、あらためて、あの敗戦をどう分析し、敗因をどう解釈しているのか。

「スイスのサンモリッツ(標高1700メートル)で行った高地トレーニングで体はできあがっていたけれど、いいときの体の動かし方ができなかった」

「ロンドンのコースはカーブが非常に多く、変化に富んでいたので、リズムがつかみにくかった。普通は一度、いいフォームにはまれば、外れないものだが、ロンドンはまた外れてしまう可能性のあるコースだった」

「もう一度、はめ直すことができなかったという点では、自分の力が足りなかったといえる。いいフォームにはまろうが、はまるまいが、走れてしまう選手もいるけれど、僕はそういうタイプではない」

「それ以前に、ロンドン入りしてからは、あまりいいフォームでなかったような気もする。体ができていたので、フォームがおかしくても、体力で走れてしまう状態だった。だから、フォームの狂いに気づきにくくなっていた」

「周りに『いい動きをしている』と言われて、安心してしまった面もある。自分では『まだ、まだ』と思っていても、その一方で安心したいという心理が働いていたのかもしれない。とにかく、修正能力が落ちていた」

いまは「マラソンは難しい」という意見に賛成

――スタート後、早い段階からつらかったというのは、フォームが狂っていたせいなのか。

「そうとしか考えようがない。ドタドタしていたというか、キレが悪い走りになっていた気がする。帰国後も五輪の映像は見ていない。悪いときの映像は見ないことにしている」

――ケニア、エチオピア勢も金メダルは逃した。やはりマラソンは難しい。

「いつか『マラソンは簡単』だと言ってみせるつもりです。でも、まだいまは『マラソンは難しい』という意見に賛成する」

――五輪後、どういう復帰プランを考えたのか。

「来年2月の東京マラソンを狙うというのが普通の考え方だと思う。しかし、そうなると、かなり時間的な余裕がある。すぐに本格的な練習を始めなくても間に合うと思った」

福岡国際へ向け常識外れの練習

「しかも五輪後も東京は暑かったので、何となくダラダラしてしまった。充実したトレーニングができないまま、2カ月近く経過し、気付いたら、『何だ、このありさまは』という体の状態になっていた」

「そうこうしているうちに10月になった。そこで、ふと思ったんです。福岡国際を走ることにしたら、自分はどうなるだろうと。それで予定に入れてみた。すると、頭の中の血の行きわたっていなかった部分に、どっと流れ込んだような感覚を覚えた。『よし、これだ』と思って、そこから目の色を変えて練習した」

「練習のやり方は常識から外れていると思う。かなり、むちゃくちゃです。ほぼ毎日、ポイント練習(負荷の高い練習、普通は週に2~3回)をしているようなものですから」

具体的にはどんなトレーニング?

――10月から具体的にはどういうトレーニングを積んできたのか。

「トラックで、1キロ=3分30秒~40秒のペースでの1万6000メートルから始めた。それがこなせるようになってから、クロスカントリーの12キロに移った。クロカンは負荷が少し高いので、1キロ=3分50秒ペースで。徐々に距離を伸ばしていき、14キロ、16キロ、18キロ、20キロ、もう一度20キロと毎日、走った」

「そこから2日休んで、次はインターバルトレーニング。3分5秒ペースで1キロを12本。次は6分10秒での2キロを6本。そこからまたクロカンに戻って、20キロを3日続けて走った。ここでは1キロ=3分30~40秒にペースを上げた。この時点で、体がもとに戻ったなと感じた」

「次はクロカンでの全力走。間に5分の休みを入れながら、3キロ+2キロ+1キロをこなした。次は3キロ×5本をこなし、さらに6キロ×3本を試みたけれど、クリアできなかった。そこでまた20キロを2日続けて走った。これで感覚をつかんだので、もう一度、6キロ×3本に挑戦したら、今度はこなせた」

「次は1キロ×14本のインターバル。1キロ=2分55秒で始めて、5本目からは2分50秒ペースで通した。風の強い日にクリアできたので自信になった。これならもう長い距離を通しで走れるだろうと思ったので、1キロ=3分の設定で15キロを走ってみたら、風の強い日だったのに45分を切れた。さらに中2日で11月15日に20キロ走をしたら、うまくリズムに乗って、楽に59分半で走れた」

「本格的な練習を始める前は、5000メートルで16分を切るのがやっとという状態まで力が落ちていたのに、わずか1カ月でここまできた。マラソンで2時間10分を切れる可能性のある体に仕上がっている」

五輪前はリスクがあるのでできないが…

――こんなに詰め込んだトレーニングでも、やればできるものなんですね。

「リスクがあるので、こういうことは五輪前にはできない。練習メニューに遊び心が入っているから、いまのほうが面白みがある。僕の場合、半分ふざけている感じのほうがいいのかもしれない。大会までの時間が足りず、『これはまずいぞ』と追い込まれて、練習のやり方を大幅に変更して無理やり大会に合わせたときのほうがいい結果が出る傾向がある」

「こういうことをしていると、才能って何だろうと思う。誰でも、やろうと思えば、きつい練習でもこなせてしまう。でも、そこで故障する選手もいるし、精神的にまいってしまう選手もいる。練習したのに体に生理学的な変化が起きない選手、つまり効果が表れない選手もいる」

「才能のある選手とは、練習に対して体が反応して、変化が起きる選手のことなのではないかと思う」

才能があっても楽しちゃ効果が出ない

「まるで、自分には才能があると言っているみたいだけれど、僕が言いたいのはつまり、いくら才能があっても楽しちゃ効果が出ないということです。まあ、自分に才能がないと思っていたら、こんなきつい練習をやる気にならない」

「僕の解釈だと、指導者が『おまえは才能がないのだから、努力しろ』というのは間違っていることになる。そんな話をまともに受け入れて、精神がすたれていく選手をしばしば見かける。とにかく僕はいま、喜んできつい練習を受け入れようと思っている。純粋に練習を楽しんでいる」

――五輪の前は楽しめなかったということですか。

「優等生でいなければならなかったので……。それが五輪選手の定めだから仕方がない。そういう中で結果を出さなくてはいけない」

「五輪の前はやはり緊張していた。何かちょっと違うなという感じがした。リラックスしているのか、思考停止しているのか、よくわからない状態だった。自己観察能力が落ちていたような気がする。というより、あまり自己観察して、変に考えすぎるのは良くないと思っていた。それで結果的に、ぼけーっとしてしまった」

いずれ2時間5分台を出したい

――今後のマラソン人生で目指すものは?

「もちろんタイムですよ。今度の福岡は別として、いずれ2時間5分台を出したい。2時間4分でもいいんですが……。福岡では2時間10分を切れたら合格だと思う」

――福岡には堀端宏行(旭化成)、川内優輝(埼玉県庁)、ハイレ・ゲブレシラシエ(エチオピア)と実力者がそろう。勝負にこだわるのか。

「どういうレースをするのか、まだ、あまり考えていない。ライバルが多いので、30キロ地点まで行ってから、どうするか考える」

敗戦後のストーリーをどう描くか

――五輪を経て、自分はどう変わったと感じているのか。

「ずぶとくなったと思う。五輪で負けた人間なので、もう怖いものはない。五輪はものすごいものだと、肌で、いや体の芯で感じた。いまは、敗戦後のストーリーをどう描くかということに熱意を持って取り組んでいる。五輪の負けをストーリーの一部として消化しつつある」

――へたをすると、ああしておけばよかった、こうしておけばよかったと悩み続けてしまう。

「感情的な意味で、ああすればよかったと悔やんでいても全く生産性がない。そういう考え方は封印している。でも、次に向けて、どこをどう改善すべきなのかを分析する必要はある」

「大会に向けてやってきた一連の流れが、すべて間違っていたというのはありえない。では、どこがどう間違っていたのかを探り、どう改善すればいいのかを考えなくてはいけない。そういう分析なしでは、もう一度チャレンジしようという気になれない」

自己否定してしまったら、前に進めない

――終わったことをきちんと分析する選手が少ないような気がする。

「勝負の世界に『if(もし)』はないというけれど、どこをどうすれば違う結果が出るのかを探るうえでの『if』は重要だと思う。だから、僕は次の可能性をつかむために、終わったレースを分析する」

「よく『申し訳ありません。私が悪うございました』というようなことを言って頭を下げる選手がいるけれど、それだけでは自己否定することになってしまう。分析を拒否することにもなる」

「『力が足りませんでした。一からやり直します』という言葉は、あくまであいさつなんだと自分で理解したうえで口に出さなくてはいけない。『私が悪かった』と自己否定してしまったら、前に進めない」

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