京大、HIV増殖の仕組み解明 新薬の手掛かりに
京都大学医学部の高折晃史教授らはエイズウイルス(HIV)の増殖を促す新しい仕組みを見つけた。HIVが作るたんぱく質の一つである「Vif」が感染した細胞の分裂周期などを調整し、増殖しやすい環境にしていた。新薬開発の手掛かりになる。米科学アカデミー紀要に9日掲載される。
高折教授らはVifと人の免疫細胞のさまざまな物質との関係を調べた。Vifは細胞内で特定の物質とくっつき、細胞の分裂周期を制御するたんぱく質の量を増やしていた。細胞の周期が特定の状態になると、HIVが増殖しやすくなるという報告がある。
これまでにVifは体内にあるHIVの増殖を妨げる物質を分解することが知られていた。今回の成果から異なるメカニズムでも増殖を促していたことになる。Vifの分解を促す物質などを探索すれば、従来のエイズ治療薬とは異なるメカニズムで作用する新薬を開発する手掛かりになる。