首相、小沢氏と約30分再会談 進退含め協議
沖縄県の米軍普天間基地移設問題での迷走や社民党の連立離脱による内閣支持率の急落などを受け、鳩山由紀夫首相は1日午後6時から国会内で民主党の小沢一郎幹事長、輿石東参院議員会長と約30分会談した。首相の進退問題を含め7月の参院選に向けた対応を協議する見通し。首相は続投への意欲を重ねて示したが、首相に対する民主党内の見方は厳しく、参院選で改選を迎える議員を中心に首相退陣論が強まっている。
首相は同日朝、首相公邸前で記者団に小沢氏との再会談について「代表、幹事長だからしっかりと協議し、協力してこの国難に立ち向かっていこうと(話したい)」と表明。「国民の暮らしのために何がベストか考えながら、政策を大きく変えるために出発したこの新政権にふさわしい形で、これからも行動していきたい」と強調した。
同日昼には、訪問先の宮崎県庁で記者団に「国民の皆さんの理解をいただいていないことを反省しながら(小沢)幹事長ともよく相談してしっかりとした道筋を考えていきたい」と語った。
閣議後の記者会見では、各閣僚から首相を擁護する意見が大勢を占めた。菅直人副総理・財務相は「任期いっぱい4年間務めてほしい気持ちは変わっていない」と指摘。前原誠司国土交通相も「首相がころころ代わることはいかがなものか」と述べた。ただ「首相のリーダーシップの問題、あるいはツートップの『政治とカネ』の問題が極めて大きく、支持率が下がっている」とも語った。
亀井静香郵政・金融相は5月31日夜に首相に電話で続投支持を表明し、首相が「頑張ります」と応じたことを明らかにした。亀井氏は1日に小沢氏と会い、同様の考えを伝える見通しだ。
平野博文官房長官は普天間問題などをめぐって自らが社民党との交渉にあたっていたと説明。「その結果が実らなかったことに対する責任は私にある」と述べ、首相の責任論回避に努めた。
一方、民主党が1日午後に開いた参院常任役員会では、出席者から「首相には現場の声が本当に届いているのか」などと首相への不満の声が上がった。選挙区の厳しい状況を首相に伝えるための両院議員総会を開催するよう求める意見も出た。輿石氏は参院側の意見を集約して首相との会談に臨む考えを示した。
1日は首相に近い閣僚や議員からも首相の責任論や進退問題に絡んだ発言が相次いだ。
小沢鋭仁環境相は「これまで同様しっかり支えたい」としたうえで、普天間問題が5月末までに決着できなかったことで「一定の結果責任はある。政治は結果責任という中で、どう判断するかは国民の反応を見ながらやっていきたい」と語った。民主党の海江田万里選対委員長代理は日本経済新聞の取材に、首相の続投を支持しつつ「鳩山さんに鈴をつけられるのは小沢さんしかいない」と小沢氏が首相に退陣を迫る可能性に言及した。
首相と小沢氏らの5月31日の会談では、輿石氏が「状況は厳しい」と参院側の空気を伝達。民主党はこの後の役員会で、今後の対応を小沢氏と輿石参院議員会長に一任することを決めた。