論争不発、ぼやける争点 衆院鹿児島2区補選 27日投開票
27日投開票の衆院鹿児島2区補欠選挙で、政策論争が盛り上がらない。安倍政権の経済政策「アベノミクス」効果を掲げる与党に対し、共闘の野党4党は「政治とカネ」追及の一点突破。争点はかみ合わず、消費税増税や環太平洋経済連携協定(TPP)、原発再稼働などの議論も深まらない。有権者には「争点不在」への批判が強まっている。
自民党新人の金子万寿夫氏(67)=公明推薦=は、政権とのパイプを生かし景気回復を地方に波及させたいと訴える。
だが消費税にはほとんど言及しない。有権者の反発が根強く「票が逃げる」(選対幹部)からだ。憲法解釈見直しによる集団的自衛権の行使容認に慎重な公明党に配慮し、安全保障政策も避け慎重に票固めを進める。
無所属元職の打越明司氏(56)=民主、維新、結い、生活推薦=も消費税やTPPなどを積極的に取り上げない。保守地盤で勝つには、野党4党の主張がばらばらな政策に触れず「政治とカネを接着剤に協力するしかない」(打越氏周辺)との考えだ。
とはいえ過度な追及は、補選のきっかけとなった選挙違反事件で指弾された医療法人・徳洲会グループを刺激しかねない。「徳洲会票」が多い奄美群島では抑制し、逆に医療面の実績をたたえ票の取り込みを図る。
金子、打越両氏に比べれば、共産党新人の三島照氏(72)らは原発再稼働への賛否明言など歯切れは良いが、論戦には至っていない。19日に鹿児島入りした安倍晋三首相は応援演説で「デフレ脱却のチャンスを逃してはいけない」などと訴えたが、聴衆の無職男性(76)が「争点が明確でないと投票先を選べない」と憤るほどだ。
補選には、諸派の有川美子氏(42)、無所属の碩利昭氏(46)、諸派の松沢力氏(32)も立候補している。〔共同〕