ジョンウン氏、党軍部門ナンバー2に 北朝鮮、世襲確定へ
権力継承に向け体制固める
【ソウル=尾島島雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は29日、平壌で28日に開いた朝鮮労働党代表者会で金正日総書記の三男ジョンウン氏(27)が党中央委員に選出され、新設したとみられる中央軍事委員会副委員長に就任したと報じた。同氏は金総書記に次ぐ党軍事部門のナンバー2となり、権力を世襲して総書記の後継者となる流れが事実上固まった。社会主義を掲げながら、3代にわたる世襲という異例の体制へ動きが加速することになる。
朝鮮通信(東京)が伝えた。党最高指導機関を選出する目的で44年ぶりに開いた党代表者会は金正日氏を総書記として再度推挙。党の中枢である中央委員にジョンウン氏ら124人を選出し、同日中に閉幕した。金総書記の長男、正男(ジョンナム)氏(39)と次男、正哲(ジョンチョル)氏(29)は党幹部名簿に含まれておらず、後継者選びは事実上、決着した。
朝鮮人民軍を指導する立場となる中央軍事委員会委員長には金総書記を再任。副委員長ポストはこれまで存在を確認されておらず、ジョンウン氏のために新設したもようだ。政策決定の中核を担う政治局常務委員には金総書記に加え、金永南(キム・ヨンナム)最高人民会議常任委員長、趙明禄(チョ・ミョンロク)国防委員会第1副委員長ら5人を選出した。
金総書記の実妹でジョンウン氏とともに大将の称号を与えられた金慶喜(キム・ギョンヒ)党軽工業部長は17人いる政治局員に選出。夫で金総書記の側近である張成沢(チャン・ソンテク)国防委員会副委員長を政治局員候補15人のうちの1人とした。若年のジョンウン氏を支える体制を意識したとみられる。
一連の党人事は粛清や死亡で欠員が目立っていた重要ポストを補充する位置付け。金総書記への権力集中で弱体化していたとされる党機能を強化し、権力継承を円滑に進める狙いがあるとみられる。
代表者会に先立ち、金総書記が27日付で、ジョンウン氏に朝鮮人民軍「大将」の称号を与える命令を出した。ジョンウン氏は1983年1月8日生まれとされる。母親は2004年に死亡したとされる元在日朝鮮人の高英姫(コ・ヨンヒ)夫人。少年時代にスイスに留学した後、金日成総合大や金日成軍事総合大で学んだとされる。詳しい経歴や名前の漢字表記は分かっていない。