パソコンの世界出荷台数、1~3月期は7四半期ぶり減少
米調査会社のIDCは13日、1~3月期のパソコン世界出荷台数が前年同期比3.2%減の8055万7000台になったと発表した。物価高や「タブレット」と呼ぶ多機能携帯端末の人気を背景に米国などで消費者がパソコンを買い控える傾向が強く、米金融危機の影響を受けた2009年4~6月期以来、7四半期ぶりに減少した。
別の調査会社、米ガートナーも13日、1~3月期のパソコン世界出荷台数が前年同期比1.1%減の8425万台になったと発表した。IDCによると、全体の約2割を占める米国が10.7%減の1611万8000台。日本は15.9%減で、日本を除くアジア太平洋は5.6%増だった。欧州・中東・アフリカでも前年実績を下回った。
商戦の谷間に当たる1~3月期はパソコンの販売が伸びない。IDCは当初から1.5%増と比較的低い伸び率を見込んでいたが、実績はこれを下回った。米アップルの「iPad(アイパッド)」など多機能携帯端末の人気が高まっていることなどを背景に、先進国の消費者がパソコンの購入を後回しにしていることが主な理由だ。
IDCは東日本大震災の影響も指摘し、「1~3月期への影響は比較的小さいが、今後は影響が拡大する可能性がある」(同社アナリストのジェイ・チョウ氏)という。震災のためノート型パソコンに使うガラスパネルなど部品の供給が滞る懸念があり、「部品の値上がりで製品価格が上がれば、販売に悪影響を及ぼす」(同)としている。
1~3月期のメーカー別シェアは、米ヒューレット・パッカード(HP)が前期比0.5ポイント減の18.9%で首位。米デルは0.8ポイント増の12.8%、台湾の宏碁(エイサー)が0.3ポイント減の11.2%だった。デルは中国販売が好調だった一方、HPはアジアで苦戦。数少ない成長市場となったアジアでの販売動向が世界シェアに直結する傾向が強まっている。
(シリコンバレー=奥平和行)