IMF出資比率、中国が3位浮上 日本は2位維持
理事会承認
【ワシントン=大隅隆】国際通貨基金(IMF)は5日の理事会で、新興国の出資比率を大幅に拡大する組織改革案を正式に承認した。焦点だった国別の出資比率で日本は2位を維持するが、6位の中国が3位に浮上。インド、ブラジル、ロシアも上位10カ国に顔をそろえる。加盟国の財政支援増に対応し、自己資本を2倍に増やすことも決めた。2012年秋のIMF総会までの発効を目指す。
5日会見したストロスカーン専務理事は「IMFの65年の歴史のなかで最も根本的な運営改革」と語った。IMFは財源の多くを拠出する日米欧の先進国が人事や組織運営で主導権をとってきた。今後、新興国は財源供給の役割が大きくなり、組織運営でも発言力が一段と高まりそうだ。
各国別の新たな出資比率は、第1位の米国は17.41%で重要事項への拒否権を持つ「15%」を維持。2位の日本は6.46%で微減となった。3位に浮上する中国の新出資比率は6.39%で、次回の増資では日本を抜く勢いだ。
新興国ではインドが11位から8位に、ブラジルが14位から10位に上昇し、カナダとサウジアラビアが上位10カ国から外れた。この結果、新興国などの出資比率は6%超上昇する。24人で構成する理事会についても欧州が譲歩し2人分を新興国などに割り当てることで合意した。
一方、自己資本の規模はほぼ倍増し7557億ドル(約61兆円)とする。日本も2兆円程度を拠出する可能性がある。
08年秋の金融危機を受けIMFは20カ国超を対象に2000億ドル規模の支援を実施している。経済のグローバル化で資金移動も激しくなり、通貨危機が頻発。従来の途上国だけでなく、ギリシャなど先進国向けの大型支援も増えている。欧州連合(EU)など地域機関だけでは支援に限界があり、IMFの資金基盤を大幅に強化することにした。
ただ、日米欧の先進国は財政再建が大きな課題となっている。IMF増資の議会承認などに時間がかかれば、IMF運営での影響力維持に支障が出てくる可能性がある。