高速道老朽化対策に5兆~10兆円 道路3社が試算
東日本、中日本、西日本の高速道路3社は25日、3社が管理する道路の老朽化対策として5兆~10兆円規模の費用が必要になるとの試算を発表した。経年劣化した橋梁などを造り直したり、補強したりする工事の費用が膨らむ。財源のメドは立っておらず、今後の負担のあり方が課題になる。
3社は2005年の民営化時に50年までの道路の補修費用として、6兆5千億円が必要になると見積もった。ただ、経年劣化が進んだ道路は通常の補修では質を保てないとの判断から、今回追加的に必要な老朽化対策の費用を試算した。今後100年間にわたり、現存する高速道の機能を維持する前提で算出した。
基本シナリオでは必要な費用の総額を5兆4千億円と試算。橋自体の建て替えなど更新費として2兆円、設備の改修や補強などの修繕費として3兆4千億円が必要と見積もった。修繕ではなく更新が必要な設備が増えた場合には、総額が10兆6千億円まで膨らむとの試算も示した。
最も費用がかかるのは橋梁で、基本シナリオでは総額の8割強の4兆4千億円が必要になる。3社合計で1万7千ある橋の大半が更新ないし修繕の対象になる。ほかに盛り土などで7千億円、トンネルで3千億円がかかる。
3社が管理する高速道路は合計で約8700キロメートル(11年度末時点)に達し、うち4割が開通後30年以上経過している。50年には3社の道路全体の8割が開通50年以上になり、計画的な老朽化対策が急務になっている。
ただ老朽化対策で新たに生じる費用をいかに賄うかメドは立っていない。高速道路各社は現在、料金収入から維持管理費などを引いた額を国に返済している。老朽化対策で維持管理費が膨らめば、50年までとする高速道路各社の債務完済時期は遅れる可能性が高まる。債務完済後に実施される予定の高速無料化の時期もずれ込むことになる。