俳優の小沢昭一さん死去 83歳、芸能研究も
味わい深い語り口で親しまれた俳優の小沢昭一(おざわ・しょういち)さんが10日午前1時20分、前立腺がんのため東京都内の自宅で死去した。83歳だった。告別式の日取りなどは未定。
東京都生まれ。家業は写真館で、蒲田で少年時代を送った。麻布中学から海軍兵学校予科に進学したが、終戦。復学した麻布中学、早稲田第一高等学院で俳優の加藤武氏らと演劇に熱中した。
早稲田大文学部卒後、俳優座養成所に入り、1951年、初舞台。俳優小劇場結成にかかわった後、芸能座、しゃぼん玉座を主宰し、井上ひさし作品などで活躍。親友だった今村昌平監督「『エロ事師たち』より 人類学入門」などの映画をはじめラジオ、テレビでも活躍した。
郡司正勝氏に師事し、民衆芸能の研究にも力を注いだ。芸能の原点をたどる「日本の放浪芸」シリーズの取材、録音の成果は学術的にも評価が高い。昭和の心を伝えるハーモニカ・コンサートが人気を呼び、TBSラジオ「小沢昭一の小沢昭一的こころ」は73年に始まり放送1万回を超す人気長寿番組だった。変哲の俳号をもつ俳人としても知られていた。
放送大学客員教授なども務めたが、今年秋からラジオ収録を休むなど体調不良が続いていた。