消費増税法案が衆院通過 賛成363票、反対は96票
消費増税を柱とする社会保障と税の一体改革関連8法案は26日午後の衆院本会議で民主、自民、公明3党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。消費増税関連法案の採決では、民主党内から小沢一郎元代表や鳩山由紀夫元首相を支持するグループを中心に反対が50人台後半に上った。このほかに欠席した議員もいる。元代表は離党や新党結成を視野に入れており、消費税政局は民主党が事実上分裂する事態に発展した。
今後は反対票を投じた小沢元代表が民主党を離党し、新党を結成するかどうかが焦点。元代表が新党に踏み切った場合、党内で、同調する議員の規模がどの程度になるのかが今後の政局の行方に影響する。
一体改革法案は参院での審議が順調に進んだ場合、8月上旬にも成立する見通しだ。衆院通過を受け、野田佳彦首相は本会議後の同日夕に首相官邸で記者会見する。
本会議で採決した8法案のうち、各議員の賛否が明確に分かる記名投票をしたのは、消費増税法案(国税分)、民主、自民、公明3党が議員立法で提出した社会保障制度改革推進法案、「認定こども園」設置法改正案の3本。年金制度改革関連法案など残りの5法案は起立方式で採決した。
各議員の賛否が分かる記名投票の採決をした3法案のうち、消費増税法案の賛成は363票、反対は96票(投票総数459)だった。社会保障制度改革推進法案は賛成378票、反対84票(投票総数462)、「認定こども園」設置法改正案は賛成377票、反対85票(投票総数462)だった。
本会議での採決で、民主党で消費増税法案に反対したのは小沢元代表や鳩山元首相ら。羽田孜元首相、石関貴史氏、横山北斗氏の3人は欠席した。自民党では中川秀直元幹事長が欠席した。無所属では与謝野馨元官房長官、鳩山邦夫元総務相が欠席した。
元代表を支持する議員で消費増税法案に反対した議員は残る7法案もすべて反対したとみられる。元代表は本会議での採決後にグループ会合を開き、離党や新党構想などの今後の政治行動についての見解を表明する。
本会議前には、造反を前提に政務三役や党役職を辞任する動きが相次いだ。小沢元代表に近い福田昭夫総務政務官は同日午前、首相官邸で藤村修官房長官に政務官の辞表を提出。鳩山元首相も電話で輿石東幹事長に党最高顧問を辞任する考えを伝え、了承された。鳩山氏に近い松野頼久氏は衆院議院運営委員会筆頭理事の辞表を民主党執行部に出した。
民主党執行部は午後の衆院本会議の議事進行係を、増税反対派の太田和美氏から賛成派の鷲尾英一郎氏に差し替えた。
反対後に民主党から離党する衆院議員が54人以上に達すれば少数与党に転落し、野党が提出する内閣不信任決議案を与党だけで否決できなくなる。輿石氏ら党執行部は党の分裂回避のため造反議員への処分先送りを探っている。