みんな、江田幹事長を更迭 渡辺代表と対立
みんなの党の渡辺喜美代表は7日の両院議員総会に江田憲司幹事長を更迭し、後任に浅尾慶一郎政調会長を充てる人事案を示し、了承を得た。渡辺氏は党運営や政界再編を巡って対立が目立っていた江田氏を執行部から外し、求心力回復を狙う。江田氏は自身に近い議員とともに野党再編に動くのは必至で、党内の亀裂は決定的となった。
「方向性にギャップが出てきてしまった。ツートップという思いが強かったのだろうが、幹事長としてののりを超えた行為で、更迭やむなしと判断した」。渡辺氏は総会後の記者会見で、江田氏の交代を「更迭」と明言した。
江田氏は春ごろから、渡辺氏主導の党運営を再三批判。党の政治資金の使途の透明性を高めることや、参院選候補者の公認手続きを明確にするよう主張してきた。江田氏は野党再編に積極的で、参院選投開票日の7月21日に民主党の細野豪志幹事長(当時)、日本維新の会の松野頼久国会議員団幹事長と意見交換した。
渡辺氏は江田氏の姿勢を批判。細野、松野両氏との会談の報告を求めたが拒否されたことで、溝は修復困難になっていた。
渡辺氏は7月末に江田氏の主張を踏まえ党運営の改善案を示した。一方、このままでは江田氏に主導権を奪われかねないという危機感を強め、8月5日に執行部人事に踏み切ると表明。参院選対策で渡辺氏を支えた浅尾氏を後任の幹事長に起用し、党運営の主導権確保に動いた。江田氏に近い柴田巧氏を党総務委員長に就けるなど「江田派」の取り込みも図る。
江田氏は7日の記者会見で「更迭の理由に多くの説明はなかった」と悔しさをにじませた。「一兵卒としてさらなる党改革の断行に取り組む」と、離党を否定しながらも「野党再編に職を賭して取り組み、与党に代わる政治勢力をつくる。自由にやらせてもらう」と強調した。
党内には「渡辺氏の個人商店からの脱却」を目指した江田氏に賛同する議員も少なくない。6日夜には都内に約10人が集まり、江田氏の幹事長留任を支持することを確認したばかりだった。
7日の党両院議員総会でも、江田氏を幹事長以外の役職で処遇すべきだとの声が上がったが、江田氏自身が拒否。江田氏周辺は「処遇に納得がいかない。江田氏をこれからも後押しする」と明言した。2009年の結党以来、初めて分裂含みの情勢になりつつある。
他の野党では7日「江田グループは党を一時的な宿り木にし、再編の受け皿ができるときに脱党するはず」との見方が広がった。江田氏とパイプのある維新の松井一郎幹事長(大阪府知事)は7日、「これからもいろんなかたちで指導してもらいたい」と述べ、引き続き再編に向けた意見交換を続ける意向を示した。
浅尾 慶一郎氏(あさお・けいいちろう)米スタンフォード大院修了。党政調会長。衆院神奈川4区、当選2回(参院2回)、49歳。