インテル決算、研究開発負担で減益 主要部門増収も先行き警戒
【NQNニューヨーク=滝口朋史】米半導体大手インテルが17日の通常取引終了後に発表した2012年4~6月期決算は、純利益が28億2700万ドル(約2230億円)と、前年同期に比べ4%減った。パソコン用MPU(超小型演算装置)など主要部門は持ち直したが、研究開発費の増加が利益を圧迫した。世界景気の減速や米マイクロソフトの次世代OS(基本ソフト)「ウィンドウズ8」の一般向け販売を10月に控えた買い控えをにらみ、12年12月期の売上高見通しは従来予想から下方修正するなど先行きには警戒感をにじませた。
売上高は135億100万ドルと前年同期比で4%増えた。売上高の9割超を占める主力の製品部門では、パソコン用MPUが4%増、インターネット経由で機能やソフトを提供する「クラウドコンピューティング」の普及を背景にデータセンター部門も15%増と持ち直した。一方、スマートフォン(高機能携帯電話)用などのNAND型フラッシュメモリーや低価格のネットブック用MPUが苦戦し、携帯端末用MPUを含む「その他」部門が20%減となった。
地域別ではアジア太平洋が5%増、欧州が6%増、日本が2%増と全体的に持ち直した一方、米州は1%減と低調だった。
4~6月期の売上高は市場予想に届かず、4月中旬にインテルが示した見通しの中心値にも及ばなかった。一方、1株利益は市場予想ほど減少しなかった。売上高総利益率は4月中旬にインテルが示した見通しの中心値を上回る63.4%で、市場予想も上回ったが、1~3月期からは0.7ポイント低下した。
7~9月期の売上高見通しは中心値が143億ドルと市場予想を下回った。4~6月期比では6%の増収見込みだが、ステイシー・スミス最高財務責任者(CFO)は決算資料で「過去の経緯からみて7~9月期としては低い伸びにとどまる」と指摘した。世界的な景気減速によるパソコン需要の減退や次世代OS投入前の買い手控えが響くとみている。
12年12月期の売上高見通しも前期比3~5%の増加と、1桁台後半を見込んでいた従来予想から下方修正した。ポール・オッテリーニ最高経営責任者(CEO)は「厳しい経済環境により成長率は当初予想よりも減速する」と指摘した。4~6月期に投入した自社開発MPU搭載のスマートフォンや薄型軽量の「ウルトラブック」の普及で、売上高の伸び悩みに歯止めをかけられるかどうかが今後の焦点になる。
12年12月期の設備投資の予想額は中心値で125億ドルと、4月中旬時点の見通しを据え置いた。以下にインテルの決算、見通しの概要。
◎12年4~6月期決算
<決算結果> <4月中旬予想> <市場予想>
売上高 135億 100万ドル 136億ドル(±5億ドル) 135億6100万ドル程度
総利益率 63.4% 62.0%(±2ポイント) 62.3%程度
1株利益 0.54ドル 非公表 0.52ドル程度
◎12年7~9月期見通し
<会社予想> <市場予想>
売上高 143億ドル(±5億ドル) 146億 200万ドル程度
粗利益率 64.0%(±2ポイント) 64.2%程度
1株利益 非公表 0.65ドル程度