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「高橋と魂が通じた」 フィギュア屈指の振付師

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ローリー・ニコルさんはフィギュアスケート界でその名を知らぬ人はいない振付師だ。1996年、当時15歳のミシェル・クワン(米国)に世界女王のタイトルをもたらして名をはせ、これまで数々の名作を作ってきた。来年のソチ五輪では浅田真央(中京大)、高橋大輔、織田信成(ともに関大大学院)の振り付けを担当するなど日本との関係も深い。選手に寄せる思いや振付師の役割などについて聞いた。

ノクターン、浅田にぴったり

――バンクーバーは「ローリーの五輪」とも言われた。ペアの申雪、趙宏博(中国)、男子のエバン・ライサチェク(米国)に金メダル、女子のジョアニー・ロシェット(カナダ)に銅メダルをもたらした。最近もパトリック・チャン(カナダ、2012年で関係解消)、カロリナ・コストナー(イタリア)、ペアの龐清、●(にんべんに冬)健(中国)ら実力派がズラリ。浅田にも15歳のころから振り付けをしてきた。ソチ五輪のショートプログラム(SP)には06~07年シーズンと同じ、ショパン作曲「ノクターン」を選んだ。

「私にとって『ノクターン』は甘くて柔らかく、思慮深くて優しい。でも強い曲。まさに真央に対して私が持つイメージそのもの。ぴったりの曲だわ」

「真央は出会ったころ、無邪気な14歳の女の子そのものだった。この年代は選曲が難しい。あっという間に成長するし、日々変わるから。15歳の真央に『ノクターン』を選んだのは、真央を見るといつもショパンを思い出すから。羽のように氷上を滑る姿……。ショパンは真央のための作曲家だと思う」

「まだ子供っぽかったから、エキシビションに『オズの魔法使い』も使ったけれど、『ノクターン』で彼女がアーティストとしても成長する手助けをしたかった。23歳の今は『ノクターン』に漂うもの悲しさ、曲の多層性を理解できる」

「真央はいつも氷との特別な関係を感じる。ほとんど力を加えず、飛ぶように進む。お湯に浸した温かいナイフで冷たいバターを切るように滑らか。真央が滑る音は美しくて、すぐ真央ってわかる。14歳のころからね」

若手育成、ビジョンが大切

――ニコルさんは元コーチ。出産を機に振付師に専念した。選手が子供のころから振り付けを担当し、何年もかけて1人のスケーターを育ててきた。代表例がクワンだ。

「彼女に初めて会ったのは12歳のころかな。当時の女子スケーターはただかわいくてキュートなだけ。力強いけれど美しくて繊細、エキゾチックで独立した一人の女性であるスケーターを育てたかった。それがミシェル。15歳で『サロメ』で世界女王になり、いきなりすごいと言われたけれど、その前に3年半の下積みがあった」

「パトリックもそうね。しかし子供のころはスケートにしか興味がなくて、表現に対し興味を持てるよう仕向けるプログラムを提供してきた。若い選手を担当するときは『こういう選手にしたい』というビジョンを持つことが大切」

愛情込めプログラム作り

――浅田には05年に出会うが、10年バンクーバー五輪シーズンだけプログラムを作っていない。

「真央とは距離的に離れ過ぎていたのが残念。と同時に時代が変わった。ミシェルのころはSP、フリー、エキシビションまで担当し、芸術面すべてに責任を持たせてもらえた。今はプログラムごとに振付師を変える。スケーターがとれる時間が減り、振り付けしにくい面もある」

「私は情が深いタイプだから、ずっと愛情を込めてプログラムを作ってきた選手が離れていくのはつらい。でもビジネスだから仕方ないわね」

モロゾフコーチに戸惑い

――高橋は今季、初めて振り付けした。昨季も依頼されたが、断っている。高橋を指導するニコライ・モロゾフコーチのスタイルが好きでないからだ。振り付けを無断で変えられるのを、ニコルさんは嫌がる。過去に織田に提供したプログラムに、モロゾフ氏が加えた修正に戸惑ったようだ。

「テレビを見ていて、あらっていうことはあるわ。自分の振り付けに誇りを持っているから。一部を変えただけで全てが変わることもある。特にステップやペアのリフトとか。すごいショックなの」

「選手の個性に合わせて曲を選ぶ。リズム、ハーモニーと、選手の技術力、長所、短所を踏まえて、エレメンツをこなせるように振り付ける。私のプログラムは、エッジが作る曲線、エッジの深さ、滑るテンポ、スケートに必要な要素はすべて入っているし、曲や感情に合った体の動かし方、ステップ、ターンもすべてが織り込まれている」

「芸術と技術のバランスがとれたプログラムが、美しくて得点もとれるいいプログラム。6点満点時代も現ルールでも、このスタイルは変えていない」

「一生懸命に練習すればできるように作っても、ケガをしたり『どうしてもこのステップからこのジャンプがダメ』だったりするといった理由で修正を頼まれる。それはOKよ。いくらでもアイデアはある。私はコーチだったから分かる。ジャンプが跳べなきゃ、プログラムは元も子もない」

すべての振付師の夢

「ファンやスポンサーとのイベントが多くて練習時間が減ったり、単純に練習せずに振り付けを一部省いて、プログラムを勝手に簡単にしてしまったりする。中には、一つの修正がプログラム全体を変えてしまうこともある。それには耐えられない」

――モロゾフコーチがいるのに、どの選手も勝負を賭ける五輪シーズンに高橋が出したオファーは受けた。

「大輔はすべての振付師の夢。完成されたスケーターを担当するのは、若い選手より楽な面もある一方、ものすごいナーバスになった。既に"伝説"の選手である彼が、私を信じて五輪プログラムを託してくれるのはプレッシャーだった。3月の世界選手権(カナダ)であいさつした程度しか、大輔のことは知らなかったし。要するに、あっ、彼が好きだなって感じたの」

私も大輔も情熱的だから

――高橋は選曲について全面的に振付師を信頼する。自分で選ぶと好みが偏るからだ。初仕事では、過去の大輔の演技の映像を見て滑りを研究し、いくつか質問した。

「彼という人間を知りたかったし、スケートで表現したいこと、スケート観を聞いた。そうしたら『何か違うもの。ファンに感謝の気持ちを伝えたい』って応えた。そして、僕をどう思うかと聞いてきた」

「私は大輔のタンゴとパッションが大好きだった。彼はタンゴの音楽のために生まれてきたって思うわ。でもフリーの4分半もタンゴを滑ってはほしくなかった。ずっと心に秘めていた音楽が、ビートルズの『Come Together』のタンゴ版。大好きで、セミナーで使うことがあったけれど、これに合う選手にずっと出会えなかった」

「息子が子供のころ着ていたTシャツで、地球が3つに割れていながらピースマークのようにつながっている柄を思い出して、プログラムのイメージが固まった。わかりにくいかしら。でも私も大輔も情熱的だから、この点で魂が通じたと感じる瞬間があった」

曲は「ファンへの感謝」に合致

――フリーはビートルズの楽曲のメドレーになっている。

「『Yesterday』は好きなの。エネルギーがあるけれど、大輔が序盤、落ち着いて高難度のジャンプを跳ぶのにいいテンポ。続いて『Come Together』。最後にガチャンと砕けるような音がクールよ。続いて、ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンの『Friends and Lovers』。私にはタンゴっぽい感じがしたの。友達と愛すべき人っていうのも、大輔が望んだ『ファンへの感謝』というテーマに合う」

「次の『In My Life』は、俳優のショーン・コネリーが歌詞を朗読するCDがあって、『I love you more』というフレーズにピンと来た。これは詩的なプログラムよ。大輔は氷上の詩人でしょ。ファンに『愛してる』と伝えた後は、『Long And Winding Road』。ここまで美しい旅、アップダウンもあり、困難があっても人生。大輔は人生礼賛ができる」

振付師はチアリーダー

――ニコルさんは試合会場に姿を現すことは少ない。

「まず私は母であり妻だから。02年のソルトレークシティー五輪は、担当したカナダペアが採点問題に巻き込まれて行ったけれど、そんなのはゴメンよ。バンクーバーは異常事態。五輪の1カ月前、カナダ選手権直前に、チャンのコーチが彼を解雇した。振付師として付き合いの長かった私が、カナダ連盟にコーチを頼まれて引き受けた。米国チームでエバンと合流する予定だったから、大変だった」

「ソチは多分、行くと思う。振付師はチアリーダーよ。選手たちは、私がそばにいなくても試合で滑ることができるだけの力をつけていると願っているわ」

(聞き手は原真子)

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