名駅地区、初めて栄抜く 名古屋市内の8月百貨店売上高
名古屋市内の主要百貨店が1日発表した8月の売上高(速報値)は合計280億円と前年同月比5.6%増だった。前年同月の水準を上回るのは33カ月ぶり。8月29日に営業を終了した松坂屋名古屋駅店の閉店セールの集客効果で、名古屋駅地区の百貨店が好調だったことが寄与した。単月ベースで初めて名古屋駅地区が栄地区の百貨店売上高を上回った。
名古屋駅地区は3店ともに前年同月を上回った。松坂屋名古屋駅店は5カ月連続で前年を上回った。6月2日から8月29日までの閉店セール期間中の売上高は前年同期比約2.6倍の69億円に達した。客数は15%増の310万人だったが、買い上げ点数が増えたことが貢献した。
名古屋駅地区の他店も松坂屋名古屋駅店の閉店セール効果で同地区に利用客が集まったことの恩恵を受けた。名鉄百貨店は2008年1月以来、31カ月ぶりに前年を上回った。猛暑で本館屋上ビアガーデンの売り上げが約2割増となるなど客数が2割増えたことも寄与した。ジェイアール名古屋高島屋も6カ月連続で前年水準を超えた。客数も6カ月連続でプラスとなったが、伸び率は最大だった。
一方、栄地区の百貨店は軒並み減収となった。松坂屋名古屋店は3カ月連続で前年を下回った。百貨店進出100周年記念セールを実施し客数は前年をわずかに上回ったものの、カード会員などの優良顧客が松坂屋名古屋駅店に流出したことが響いた。名古屋三越栄店と丸栄も前年を割れた。
この結果、名古屋駅地区の百貨店売上高は栄地区を4千万円上回った。中部百貨店協会によると、単月ベースで名古屋駅地区が栄地区を逆転するのは1954年12月の名鉄百貨店の開業以来初めて。年間ベースでは09年時点で550億円の売り上げ格差があった。
「8月は瞬間風速」(松坂屋名古屋店の熊木敏店長)との見方が多いが、栄地区の低迷と名古屋駅地区の堅調ぶりが改めて浮き彫りとなった格好だ。
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