日本海側に新ケーブルを 道と本州の通信インフラで研究会提言
北海道と本州を結ぶ海底光ケーブル敷設の可能性を探る「クラウドネットワークに関するインフラ研究会(座長・山本強北大教授)」は15日、最終報告書を発表した。道内の通信インフラ強化のため日本海側を通る新たな海底光ケーブル敷設の必要性を提言。併せて研究会の主要メンバーのカスケード(札幌市)など3社は同日、実現に向けて準備会社を月内に設立、2013年末にもサービスを始めると発表した。
現在、道と本州を結ぶ海底光ケーブルは大手通信会社運営のものが複数あるが、いずれも本州側の陸揚げ地は東北に集中している。東京との通信には中継点が多いため遅延が発生する。コスト面でも、データセンター事業者などが毎秒10ギガ(ギガは10億)ビットの回線を利用する際の代金は月額1000万~2000万円と、東京―大阪間の5~10倍に上る。東日本大震災を受けて通信経路を多様化する必要性も指摘した。
研究会は新ケーブルの通信容量を毎秒1.28テラ(テラは1兆)ビットを想定。陸揚げ地は道側を石狩市とし、本州側は富山市など日本海側の3カ所に候補を絞った。東名阪への距離は既存ケーブルの陸揚げ地より近いため遅延時間は縮小できる。設備費用は40億円前後かかるが、ケーブル全体で毎秒150ギガビットの利用があれば事業開始後6年目から最終黒字への転換が可能という損益シミュレーションも盛り込んだ。
さくらインターネットが昨年11月に石狩市内でデータセンターの稼働を始めるなど、データセンター立地先として道への関心が高まっている。新ケーブル敷設をこうした動きにいかに結びつけられるかが注目される。
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