村井宮城県知事、3選出馬を表明 復興加速が課題に
宮城県の村井嘉浩知事は11日、県議会本会議で任期満了に伴う10月の知事選に3選を目指し出馬する意向を表明した。村井氏は「宮城県の復興のために命をかけたい」と強調、震災からの復興政策の実行に全力を傾ける考えを示した。住宅整備や雇用の確保など依然として遅れの目立つ復興の加速が求められている。
知事選は10月10日告示、同27日の投開票を予定している。共産党などが候補擁立を検討しているが、出馬を明言したのは村井知事が初めて。同日午前の県議会で県議の代表質問にこたえる形で出馬を表明した。出馬の理由として前面に押し出したのが、復興加速への強い思いだ。
村井知事は議会答弁で「復興の基本理念を単なる復旧ではなく、抜本的な再構築とし、日本の新しいモデルを見据えた創造的な復興に果敢に取り組む」と強調。その後、記者団の質問に対し「復興は途上。私がつくった復興計画を復旧期から再生期、発展期へ導く。その責任を負いたい」と意欲をみなぎらせた。
2009年10月にスタートした村井県政の2期目は順調に滑り出した。セントラル自動車(現・トヨタ自動車東日本)と東京エレクトロンが県内進出を決めるなど企業誘致で実績を残し、痛みを伴う環境増税にも踏み切った。だが、11年3月の震災発生で状況は一変。村井知事も「このままいけばいい成果が出ると考えていたが、震災で全てずたずたになった」と唇をかんだ。
ただ震災後は復興政策で独自色を相次ぎ打ち出し、旧弊の打破や構造改革に積極的な姿勢をアピール。民間活力の取り込みを県政の基本方針に位置付けた。政策の実行にあたっては関係者の強い反発も受けたが、漁業権を民間開放する水産業復興特区などを実現した。医療や介護に関する患者データを一元管理する仕組み作りも進めた。
復興政策を巡っては、国に特例を認めさせるよう働きかけるなど周到で入念な根回しを展開。委員として参加した政府の復興構想会議では、毎回具体的な提案を繰り出し、霞が関の中央省庁が一目置く存在となった。一方、11年7月には県庁を訪れた松本龍復興相(当時)との国を支援を巡るやりとりが話題に。
村井氏は3期目を視野に知事選でどのような政策を訴えるのか。知事周辺は「まずはこれまで手掛けてきたことがベースになる」と話す。復興政策では、災害公営住宅の整備促進や仙台市内を予定する広域防災拠点づくりなどが焦点。空港民営化や医学部新設など、経済の活力を高める策を打ち出すとみられる。告示日に向け公約づくりを急ぐ方針だ。