ソニーモバイル社長「生活丸ごと記録」
情報通信分野の技術動向や将来展望について議論する「世界ICT(情報通信技術)サミット2014」(日本経済新聞社・総務省主催)は10日午前、2日目に入った。テーマは「データサイエンスが拓(ひら)く未来社会」。スマートフォン(スマホ)などモバイル機器の普及やビッグデータの利用促進により、ビジネスや暮らしがどう変わるかを討議した。
ノキア(フィンランド)のホセイン・モーイン最高技術責任者(CTO)は「2020年には1人当たり1日1ギガ(ギガは10億)バイトの自分に合わせて最適化されたデータを利用できるようになる」と指摘。同社は携帯電話会社への設備供給を強化しており、日本では「第5世代(5G)携帯電話の実用化に向け関連企業と連携する」と述べた。
ソニーモバイルコミュニケーションズの鈴木国正社長兼最高経営責任者(CEO)は身に着けて利用するウエアラブル機器について説明。「生活の様々なシーンを記録することで一人ひとりのデータベースに基づいた提案ができるようになる」と指摘した。
フィンランドの起業家イベント「スラッシュ」の共同創立者ピーター・ヴェスタバッカ氏は自国での成果を踏まえ、「政府の助成のみでは起業を盛んにすることができない」と強調。「草の根の取り組みやロールモデル(手本)を示すことが重要だ」と述べた。日本でも、短期間で起業が活発になった自国の経験を生かせると指摘した。
「オープンデータで活性化する社会と経済」と題したセッションでは米グーグルや世界銀行の幹部らが公的機関による情報の公開が重要と説明。社会的な問題の解決や価値創造につながると強調した。