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日本電産社長「スピードスケート界、力結集の時期」

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ソチ冬季五輪開幕まで4カ月。1957年創部の日本電産サンキョースケート部は前回2010年バンクーバー大会でメダル2個を獲得するなど、スピードスケート界の名門中の名門だ。同部を支える日本電産サンキョーの親会社、日本電産の永守重信社長(69)に、スケート部への思いや「企業とスポーツ」の関係などを聞いた。

伝統ある競技、絶やすことできぬ

――日本電産が、スケート部を持っていた三協精機製作所(現・日本電産サンキョー)を傘下に収めて10年。再建にあたってスケート部を廃部にするという見方もあった。

「三協精機が潰れかかっていたから、真っ先にスケート部をやめると思われていたようだ。僕もあまりスケートのことは興味がなかったが、スポーツ界の歴史などを勉強してみると、いろいろとわかってきた。このスポーツはマイナーだが、歴史的にみて日本のスケートは何度も五輪でメダルを取ってきたスポーツだ」

「野球チームなら廃部となってもほかのチームがいっぱいあるが、スケート部を廃部にすると選手の受け皿がなくなってしまう。スケート部をやめるということは、日本が長年やってきた伝統あるスケートがなくなるということを意味していた。全部丸抱えで、私財を投げ打ってでもスケート部を続けようと思った」

スポーツ界に甘さ、「1番以外はビリ」

――バンクーバー大会ではスピードスケート男子500メートルで長島圭一郎が銀メダル、加藤条治が銅メダルと日本電産サンキョー勢が2つのメダルを獲得した。

「僕は『1番以外はビリ』という考えを持っている。金メダルと銀メダルでは雲泥の差がある。銀メダルだったら、表彰式ではよその国の国旗が揚がり、よその国の国歌が流れる。それだけ金と銀では重みが違う」

「メディアの中には五輪で5位や6位入賞でもバンバンと選手を持ち上げて、『それでいいんだ』と思ってしまう選手もいるが、そこにスポーツ界の甘さがある。会社に置き換えると、トップシェア、1番が何より大切であって、3番にもなるとシェアはない。だから選手は1番を目指さないといけない」

――日本電産サンキョースケート部の所属選手は8人。前回バンクーバー大会から増員して強化に力を入れている。

感じられぬ選手たちの覚悟

「本当はもっと部員を増やしたいし、メダルを量産していきたい。ただ、五輪に出場できそうな候補者が少ない。日本のスポーツ界は今は弱い。選手たちの覚悟も感じられない。ハングリー精神というよりも、それを飛び越えた問題だ。『自分はこれを天職に持って生まれてきた』という気持ちを持ってやらないといけない」

「自分が五輪に出てメダルを取った後は後進の指導をして、死ぬまでスケート界に貢献していく、というような気概が足りない。スケートがダメになった場合を考えて、教員免許を取るために大学に行くとか、保険をかけながら競技を続けて五輪に出ようとするなら、すでに負けている。それなら最初からサラリーマンになった方がいい。それは日本スポーツ界全体の問題でもある」

勝つことの価値、薄れていないか

「また、学校でも運動会の徒競走で一緒にゴールして全員が1番になるとか、学芸会でクラス全員が主演をするとか、そんな話を聞くがそれはおかしい。政治の世界でも『2番じゃダメなんですか?』という議員もいた。スポーツ界でも、五輪に参加すればいいとか、五輪に勝ち負けは関係ないとか、そういう姿勢で臨むようでは国のお金のロスだ。日本のスポーツ界のみならず、いろいろな業界において、勝つというものの価値、1番になることの価値が薄れてきている」

――前回は銀メダルの長島に1000万円、銅メダルの加藤には600万円の報奨金を贈り、長島は係長に、加藤は主任に昇進させた。

「日本は五輪メダリストの待遇がよくない。五輪でメダルを取ったら、中国や韓国は後々の生活が保障されているが、日本の場合は必ずしも生活が安定していない。野球選手ならたくさんお金が入ってくるし、フィギュアスケートのようにプロに転向できる競技ならいい。ただスピードスケートは難しいところがある。それでは若い人が『次は自分がやろう』という気持ちにならない。これでは夢が持てない」

「だから今回も報奨金を出すし、夢という意味で金メダルを取ったら家が1軒建つようにしている。その後の仕事のことも考えて、この前の五輪でもメダルを取ったときに2階級特進で昇進させた。他社は野球とかサッカーとか、お金に結び付きそうなスポーツを支援しているが、我々はマイナー。マイナーだからこそ、僕みたいにエネルギーをそこに全部つぎこもうというくらいの人間でなかったら、誰もやらなくなる」

勝たなければ生活も何もない

「マイナーゆえに、選手の生活のことなど全部考えた体制でやらないといけない。うちの選手にはこう伝えている。『後の生活のことは考えるな。心配しなくてもいいから任せておけ。だから、まず勝つこと。勝たなければ生活も何もない』と。勝って金メダルを取ることで、スピードスケートをやりたい子供も一気に増える。まずスケートをやりたい人間を増やさないといけない」

――スピードスケート界には名門といわれるチームが少なくなり、選手がスポンサー探しに苦労している。

「スピードスケートはあっちに1人、こっちに1人と選手がパラパラといる感じだ。選手が練習をしようと思ったら、少なくとも2桁、10人以上はいないと競争原理が働かない。相撲部屋も、小さい部屋の力士は、ほかの大きい部屋に出稽古にいって胸を借りて強くなっていく。だから、こういうことを言うと怒られるかもしれないけど、選手が1人だけいて、監督もいないようなところでは、どうやって五輪で勝てるのかと思ってしまう。ただ参加したらいいわけではない。五輪に行く限りは勝たないといけない。強い選手をつくらないといけない」

選手強化には競争欠かせず

「他国などは、お金のかけ方が違うし、選手に対するエネルギーのかけ方も違う。うちのチームもお金の面では負けていないが、もう少し力を結集させないといけない。だから2つ、3つのライバルチームで競争させるか、大きいチームで20、30人の選手を抱えてチーム内でガンガン競争させるべきだろう。本当に日本のスケート界の将来を考えたら今のままの政策でいいのか。日本のスケート界が結集する時期にきていると思う」

勇気や喜び、希望与えるスポーツ

――企業がスポーツを持つことの意義は。

「前回のバンクーバー五輪でメダルを取ったときは、グループ会社全体でものすごく沸いたし、後援会の参加者も一気に増えた。ただ、それは自分のところの企業だけの問題。それよりも、国民全体を沸かせたことが大きい。あのときは連日、テレビ番組や新聞などで取り上げられ、露出は大変なものだった。45億円くらいの宣伝効果があったともいわれている。純粋に子供から年配の方まで全員が喜んだ。本当にメダルを取って国民を喜ばせた感動は何とも言えないものがある。ああいうものはお金には代え難い」

「やはりスポーツは、ただ単に金もうけをする、もうからないからやめる、という話ではない。スポーツは社員や国民、社会の人に、勇気を与え、喜びを与え、希望を与えるものでなければいけないと思う」

(聞き手・構成 金子英介)

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