女子大生殺害に死刑「更生可能性乏しい」 千葉地裁
千葉県松戸市で2009年10月、千葉大4年の荻野友花里さん(当時21)を殺害したとして、強盗殺人などの罪に問われた無職、竪山辰美被告(50)の裁判員裁判の判決で、千葉地裁は30日「犯行は冷酷で更生可能性は乏しく、殺害された被害者が1人でも極刑回避の事情にはならない」と述べ、求刑通り死刑を言い渡した。
裁判員裁判に限ると、死刑判決は8例目で、殺害された被害者が1人のケースでは2例目。
波床昌則裁判長は判決理由で更生可能性について「同種の前科で長期間服役したにもかかわらず、出所後3カ月弱で立て続けに犯行に及び、反社会的な傾向は顕著」と指摘。争点だった殺意に関しては「被害者の傷の状態や解剖医の証言などに照らせば、殺意を持って殺害したことが推認できる」と述べ「もみ合ううちに刺さった」とした弁護側の主張を退けた。
竪山被告は判決後に起立して「ありがとうございました」と一礼。荻野さんの写真を手に出廷した母、美奈子さん(58)は閉廷後に記者会見し「本当によかった」と感極まった様子だった。
裁判員を務めた女性は判決後の記者会見で「殺害されたのが1人だったので判断に迷ったが、他の事件の結果が深刻だった点を重視した」。別の裁判員は「本当にこれでよかったのかとの思いもある」と明かした。
判決によると、竪山被告は09年10月20~21日、松戸市のマンションの荻野さん宅に侵入し、包丁を突き付けて現金やキャッシュカードなどを奪った上、荻野さんの左胸を3回刺して殺害し逃走。翌22日に現場に戻り室内に放火した。
竪山被告は、荻野さんを含め9人の被害者への強盗強姦や窃盗など11の罪で起訴され、一括して審理された。〔共同〕