2人の死刑を執行 1年ぶり 民主政権下で初
法務省は28日、死刑囚2人の刑を執行したと発表した。死刑執行は昨年7月28日以来、1年ぶりで、民主党政権では初めて。就任以来、死刑執行に明確な意思表示をしてこなかった千葉景子法相だが、参院選で落選し民間大臣となってから執行を迎える特異なケースとなった。執行されたのは篠沢一男死刑囚(59)=東京拘置所、尾形英紀死刑囚(33)=同。いずれも2007年に死刑が確定していた。
この日の執行で確定死刑囚は107人となった。千葉法相は昨年9月の大臣就任まで「死刑廃止を推進する議員連盟」のメンバー。就任後は死刑について「大変重い刑罰であることを念頭に慎重に判断している」「法相の職務であることは理解している」などとコメントするにとどめ、執行の是非について明確な姿勢を示していなかった。
篠沢一男死刑囚は2000年6月、宇都宮市の宝石店に商談を装って訪れ、店長の荒井紀美子さん(当時49)ら女性6人を粘着テープで縛って休憩室に押し込んだうえ、ガソリンをかけて放火し全員を殺害。店を全焼させ、貴金属293点(約1億4千万円相当)を奪った。
篠沢死刑囚は強盗殺人罪などで起訴され、一、二審で死刑判決。同死刑囚側は殺意を否定したが、最高裁は07年に「周到に準備し、利欲目的で冷酷、残虐な犯行。遺族の処罰感情は非常に厳しい」などと上告を棄却し、確定した。
尾形英紀死刑囚は03年8月、交際相手だった当時16歳の女=殺人ほう助罪などで懲役5~10年の不定期刑確定=とトラブルを起こしたとして、埼玉県熊谷市で飲食店従業員、鈴木秀明さん(当時28)を包丁で刺して殺害。犯行を目撃した鈴木さんの同僚ら女性3人を車で拉致し、1人を殺害、2人に重傷を負わせた。
07年にさいたま地裁は「犯行は残忍、凶悪で、他者を顧みない非人間的な性向によるもの」などとして死刑判決。尾形死刑囚側は東京高裁に控訴したが、その後取り下げ確定した。