2人の死刑執行 法相「しっかり調査した」
法務省は27日、死刑囚2人の死刑を執行したと発表した。執行は8月3日の2人執行以来、2カ月連続で、滝実法相の就任後2回目。執行されたのは江藤幸子死刑囚(65)=仙台拘置所=と松田幸則死刑囚(39)=福岡拘置所。この日の執行で、野田佳彦内閣での執行は計7人となり、未執行の死刑確定囚は131人となった。
滝法相は執行後の記者会見で「極めて悪質で残虐性が強く社会的反響も大きかった事件。しっかり調査した上で執行を命じた」と述べた。2カ月連続の執行となったことについては「前回の執行前から調査していた」と説明するにとどめた。
確定判決などによると、祈祷(きとう)師だった江藤死刑囚は1994~95年、福島県須賀川市で除霊と称して太鼓のバチでたたくなどして共同生活していた信者6人を死亡させるなどした。4件の殺人罪と2件の傷害致死罪などで死刑判決が最高裁で確定した。
法務省によると、女性死刑囚の執行は97年以来、15年ぶり。統計が残る50年以降で4人目。
松田死刑囚は2003年10月、熊本県松橋町(現宇城市)で男女2人を包丁で刺殺し、現金などを奪った。強盗殺人罪などで一、二審で死刑とされ、いったん上告したがその後取り下げ確定した。
滝法相は今月25日の閣議後の記者会見で、来週にも予定される内閣改造に関し「僕自身は年だから、できるだけ外してもらった方がいい」と述べ、法相続投を望まない意向を示した。今期限りでの引退も表明している。前回の8月3日の執行後の記者会見で「冤罪(えんざい)などの恐れがない限り、裁判所の死刑判決を尊重するのは当然だ」と述べていた。
民主党政権では、千葉景子法相(当時)在任時に2人の死刑が執行された10年7月以降、短期間での法相交代や、死刑に慎重な法相が続いたことから、約1年8カ月間執行はなかった。滝法相の前任の小川敏夫法相(同)時の今年3月29日には3人が執行された。