「日本で死ぬ」 ドナルド・キーン氏、NY離れる前に心境
被災者は「自信持って」
【ニューヨーク=共同】海外における日本文学研究の第一人者で、日本永住と日本国籍取得を決めているドナルド・キーン米コロンビア大名誉教授(89)はニューヨークで22日、日本への出発を前にインタビューに応じ「(生まれ育った)ニューヨークを離れるのは非常に寂しいが(日本永住の)決断は今でも正しいと信じている。日本で死ぬことは私にとり、とてもふさわしいことだ」と心境を語った。
東日本大震災による甚大な被害や、福島第1原発事故の影響に苦しむ人たちに「(復興できると)自信を持って」とエールを送った。自身の日本永住の決断で「勇気をもらったと多くの人から手紙を受け取った。本当にうれしい」と話した。
キーン氏は今月末、日本に向けニューヨークをたつ予定。
引っ越し準備の真っ最中、ハドソン川を見下ろし、段ボール箱が積み重なるマンハッタンのアパートで、日本に移住したら「大好きな(岩手県平泉町の)中尊寺を訪れる」ことを楽しみにしていると語った。10月に仙台市で「私と東北」と題する講演を行うことも決まっているという。
キーン氏は「ハドソン川の景色を見られなくなるのは残念だが、東京の自宅マンション近くの庭園や細い道も好きだ。日本は私を受け入れてくれた。(日本永住は)故郷に帰るようなものだ」と笑顔で話した。