大阪のパチンコ店放火事件、死刑求刑
5人が死亡した大阪市此花区のパチンコ店放火事件で、殺人罪などに問われた高見素直被告(43)の裁判員裁判の論告求刑公判が17日午前、大阪地裁(和田真裁判長)で開かれた。検察側は「強い意志に基づく犯行で、極めて残虐。極刑はやむを得ない」として死刑を求刑した。公判は午後の弁護側の最終弁論を経て結審し、判決言い渡しは31日の予定。
起訴内容に争いはなく、事件当時の高見被告の責任能力と、「死刑の合憲性」が大きな争点。
検察側は論告で、高見被告に完全責任能力があったと指摘。死刑については「合憲と判断した過去の最高裁判例が確立されている」と主張した。弁護側は最終弁論で「過去の覚醒剤使用による妄想の影響で、心神耗弱状態にあった」「絞首刑は『残虐な刑罰』を禁じた憲法に反する」などとして死刑回避を主張する方針。
これまでの公判で、被告の精神鑑定を担当した医師3人が証人出廷し、事件時の責任能力について、2人は「完全責任能力あり」とし、1人は「限定的」と説明。また絞首刑執行に立ち会った経験を持つ土本武司・元最高検検事(76)が弁護側証人として出廷し「限りなく残虐な刑に近い」などと証言した。
起訴状によると、高見被告は2009年7月5日、同市此花区のパチンコ店でバケツに入れたガソリンをまき、マッチで放火。同店を全焼させ、客や店員ら5人を焼死させるなどしたほか、10人にやけどなどのケガをさせたとされる。