五輪ボランティア7万人輝く 日本人も活躍
主に紫と赤のユニホームに身を包み、「ゲームズメーカー」として競技場内外でロンドン五輪を支えたボランティアは約7万人に上る。観客の案内、チケットの確認、補助審判……。その役割は800種類にも及び、大会運営に重要な役割を果たした。その中には日本人の姿もあった。
鹿児島県出身で現在はロンドンに住む会社員、竹田富美さん(40)は開会式と閉会式のセレモニーにボランティアとして参加した。職場の同僚に誘われ「軽い気持ち」で応募。オーディションをとんとん拍子に通り、1月に決まった。
母親に電子メールで伝えたところ、普段は2行程度しかない返信文が、画面に表示できない分量になるほどの喜びようだった。開会式前日に受け取ったメールには、母が福島県いわき市の実家に竹田さんを連れて初めて里帰りした時のことが記されていた。
「父親が『元気な子だね、何になるのかな?』と言うので、オリンピックに出したいと言った。今ごろ形を変えて実現しました」
8万人収容の五輪スタジアムで行われた開会式。英国の歴史をたどるセレモニーで、竹田さんはすすで汚れたようなスカートとブラウスを身につけ「産業革命時代の工場労働者」役で登場した。閉会式は選手の誘導役。「8万人のスタンディングオベーションは忘れられない。夢の中みたいなこれ以上ない経験をし、母との距離も近づけてくれた」。さわかな笑顔を浮かべた。
ボランティアが五輪の大会運営に初めて導入されたのは1948年の前回のロンドン五輪だった。それから64年。今や五輪に欠かせない存在となっている。