「事件にかかわっていない」桜井さんら無罪主張 布川事件
再審初公判始まる
布川事件の再審初公判が9日午後、水戸地裁土浦支部で始まった。強盗殺人罪などに問われ、無期懲役確定後に仮釈放された桜井昌司さん(63)は意見陳述で「私は事件にかかわっていません。(被害者の男性を)殺していません」などと述べ、早期の無罪言い渡しを求めた。
これに先立ち検察官が1967年当時の起訴状をそのまま朗読したことに対し桜井さんは「そんなくだらない起訴状を読み上げて恥ずかしくないのか」と声を張り上げ、責任は検察官にあると批判した。
同じく審理に臨んだ杉山卓男さん(63)も「私は犯人ではありません。やっていません」などと訴え、「うその自白をさせられてしまい、この43年間悔やんでも悔やみきれません」と心情を明かした。
この日の公判では、検察側と弁護側がそれぞれ冒頭陳述をした後、証拠調べに入る。検察側は、被害者の口に押し込まれていた下着などのDNA鑑定の実施を求め、有罪立証する方針なのに対し、弁護側は「DNA鑑定は必要ない」と強く反発している。神田大助裁判長が鑑定実施を認めるかどうかが再審の最大の焦点となりそうだ。
桜井さんら2人は1967年10月、強盗殺人容疑で茨城県警に逮捕された。捜査段階で犯行を「自白」した後、公判では一貫して否認したが、78年に無期懲役が確定。96年に仮釈放された後、2001年に第2次再審請求を行い、昨年12月、再審開始決定が確定した。