カード現金化、出資法違反容疑で初摘発 警視庁
都内の業者
クレジットカードのショッピング枠を現金化する方法で事実上のヤミ金融を営んだとして、警視庁生活経済課は5日、東京都台東区の貴金属販売会社「インフィニティ」の元代表で飲食店経営、橋本幸治容疑者(41)=板橋区仲宿=を出資法違反(高金利、脱法行為)の疑いで逮捕した。カードの現金化業者を同法違反で逮捕するのは全国初。
同課によると、橋本容疑者は「逮捕されるとは思わなかった」などと容疑を否認している。
現金化を巡っては、多重債務者らが事実上、高金利で金を借りているとして問題化。ただ、通常の商取引を偽装しているため摘発が進んでいなかった。
橋本容疑者は融資を求める客に1個30~120円のおもちゃのネックレスなどを宅配方式でクレジットカードを使って数千円~百数十万円の高額で購入させた上、カード会社から入金される代金の一部を差し引き、残りの金を客にキャッシュバックする方式で、カードのショッピング枠を現金化していた。
同課は、顧客がカードで購入した商品の中身について送られてくるまで知らなかったことや、取引金額が商品価値と比べて極端に高額なことなどから、売買は形式的な取引と認定。さらに、業者側はカード会社側から確実に入金される仕組みで、「実態としては差し引いた代金の一部を利息とする貸金業に当たる」と判断した。
逮捕容疑は2010年3月上旬から11年1月中旬ごろまでの間、千葉県浦安市の男性会社員(49)ら4人にクレジットカードでプラスチック製のネックレスなど360円相当の商品を約415万円で購入させた上、カード会社から入金される代金のうち約346万円を4人にキャッシュバックし、差額約69万円を実質的な利息として受け取った疑い。利息は法定の10.96~22.95倍に当たるという。
橋本容疑者は06年7月から11年3月までの間、全国の顧客約750人に同様の手口で金を貸し付け、約8000万円の利益を得たとみられる。