信長のルーツ、平氏ではない? 福井に始祖の墓
福井県越前町の法楽寺で60年以上前に見つかっていた石造物に記された銘などを調査していた同町教育委員会は4日までに、信長ら織田氏の始祖とされる「親真」という人物の墓の一部と分かったと発表した。親真は平清盛の子孫とされ、信長の出自も平氏との説が根強いが、墓に刻まれた没年と系図から考えられる親真の生年には100年以上の開きがあることが判明した。
町教委は「織田氏は平氏ではなく、真のルーツは町ゆかりの忌部氏」と指摘している。
五輪塔と呼ばれる墓の一部で、一辺約20センチの立方体だったとみられるが、半分が欠けている。これまで詳しく調べられていなかった。左側面に「親真」の名と「正應三(1290)年庚刀二月十九日」と没年月日が彫られており、裏面に孝行な子を意味する「孝子」の銘がある。
町教委は、石材や銘文の配置などの特徴が、没年の鎌倉時代後期のものと合致することを確認。同年に親真の子が建てた墓と判断した。
町教委の堀大介学芸員は平氏説について「信長を作為的につなげるため、親真を系図上で利用したと考えられる」と指摘し、「劔神社の神官だった忌部氏が織田氏の先祖である可能性が高くなった」とした。
いずれの説でも、親真は信長の十数代前の先祖に当たるが、同町織田に伝わる系図では、親真は忌部親澄の実子とされ、系図と墓の没年の食い違いも小さいという。〔共同〕