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日本HP、中国に負けないパソコン生産 利益率10%の秘密

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米ヒューレット・パッカード(HP)は今年8月、低収益状態が続くパソコン事業部門を切り離す方針を発表した。ただ、そんな突然の決断に対して、冷静なのが日本法人のパソコン部隊だ。この発表の直前に、国内向けのパソコン生産を中国の工場から奪取したほど、コスト競争力に優れ、売上高利益率は10%を超えているという。その強さには空洞化の危機に直面する日本企業が学ぶべき教訓がありそうだ。

今年8月8日、米ヒューレット・パッカード(HP)の日本法人、日本HPの昭島事業所(東京都昭島市)でノートパソコンの生産が始まった。年間生産台数50万台規模の仕事を、人件費が4分の1の中国の工場から奪い取った。まさに快挙だった。

それから、わずか10日後、親会社が利益率の低いパソコン事業の分離検討を発表した。売却先としてうわさされるのは韓国、台湾などのアジア企業。仮にPC事業がアジアメーカーの手に渡ったとしても、「メード・イン・トーキョー」を続けられるだろうか。

「どうなるかはわからない」と岡隆史副社長は明言を避けるものの、表情には自信がうかがえる。それを裏付けるような数字がある。関係者の話を総合するとHP全体のPC事業の営業利益率5%に対し、日本でのPC事業は10%を超える営業利益率を維持しているという。なぜこれだけの収益率を維持できるのか。中国から東京への"逆生産移管"で収益力は下がらないのか。

2003年1月、清水直行・昭島事業所長らは不安に駆られていた。企業向けデスクトップPCの国内生産再開が決まったものの、与えられたスペースは従来の4分の3しかなかったからだ。意外にもこの劣悪な条件が奏功した。

約3割も狭いスペースで生産するには生産ラインを短縮したうえ、整理整頓を徹底してスペースを確保するしかない。窮屈な生産になりそうだったが、作業効率はむしろ向上した。ラインが短くなったので従業員の無駄な動きが少なくなった。整理整頓の徹底で作業ミスも減ってきた。「カイゼンの可能性は無限にあることがわかった」と清水所長は振り返る。

「東京生産」のデスクトップPCの納期は5営業日と中国生産に比べて3分の1。短納期の強みを生かして、納期にシビアな顧客を取り込んでいった。企業向けデスクトップ分野で国内生産開始当初は10%だったシェアは20%と首位を争うまでに上昇。この実績をもとにノートPCの生産移管を本社に要請した。

パソコン事業の低収益に悩んでいた親会社がノートPCの東京生産を認めたのは、「そのほうがパソコン事業の収益を伸ばせることを本社が理解してくれたから」(岡副社長)。

カイゼンを継続する現場力に世界最大のPCメーカーの部品調達力を背景にした割安な部品コスト、値崩れの少ない企業向けに特化した販売戦略などを組み合わせることで実現した収益力を利益にシビアな親会社も認めるほかなかった。昭島事業所の2011年度の従業員数、生産台数はそれぞれ1.5倍の450人、140万台に増える。

ノートPC生産を単に中国から日本に移しただけでは1台あたりの利幅は下がる。国内生産の小回りの良さを生かし、ソフトのインストールやラベル張りなど手間のかかる「カスタマイズ」を外注から内製に切り替えることで実質的な単価を引き上げる。ここに販売台数増が重なれば、収益は拡大できる。

品質に優れた「メード・イン・トーキョー」ブランドのPCはアジア諸国からも引き合いが来ている。東京からのPC輸出も視野に入ってきた。

日本HPの国内パソコン事業の強さはどこにあるのか。同社でパソコン事業を統括する岡隆史副社長に聞いた。

――米本社をどう説得してノートパソコンを生産移管したのか。

「ノートPCは中国のODM(相手先ブランドによる設計・生産)メーカーで集中生産したほうが量産効果が出るというのが常識とされ、米本社もそう考えていた。しかし、日本の顧客は他地域と違って納期と仕様変更への対応力がカギを握るので、国内生産に移行したほうが競争力があがると訴え続けてきた」

「企業向けデスクトップPCの国内生産移行後、この分野でトップシェアまで成長してきた実績を主張した。本社からはノートPCのシェアも10%以上にあげるよう条件を付けられたが、これもクリアした。こうして6年越しの交渉の末に、ノートPC生産についてもようやく、中国のODMから国内への移行が認められた。HPグループで自国での生産が認められたのは日本だけだ」

――コストの高い国内に生産を移して収益を拡大できるのか。

「人件費は確かにあがるが、国内生産によって顧客ごとの仕様変更などこれまで外注していた業務を取り込めるので、1台あたりの売り上げは増える」

「納期が3分の1の5日に短縮すると営業できる日数も増える。なぜなら、納期が2週間なら『月末までに必要』という顧客はその月の後半は日本HPを相手にしてはくれない。納期が5日であれば、その月の25日まで顧客を取り込める。国内生産への移行でノートPCの販売台数を3~4割伸ばす」

――米本社はPC事業の分離を検討している。仮に事業売却があれば国内生産は継続できるか。

「本社のPC事業見直しで日本生産がどうなるか正直言ってわからない。ただ、言えるのは国内生産のほうが全体のコストが安くなり、台数も伸びている実績がある。デスクトップでは納期5日の前提ならば、中国のコストが100とすると日本は85だ」

「国内工場のコスト削減努力に加え、世界最大のPCメーカーであるHPの低コストの部品調達力、多品種少量の企業向けに絞って在庫を抑える販売戦略などが重なり、競争力が向上した。日本でのパソコン事業はHPグループのなかでトップ水準の営業利益率を誇る。中国の人件費はこれからさらに上昇するだろう。国内生産の優位性はむしろ増すのではないか」

(産業部 江村亮一)

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