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松山、メジャー制覇へ芽生えたさらなる自覚

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男子ゴルフのメジャー第1戦、マスターズ・トーナメントは、28歳のダニー・ウィレットが英国勢としては1996年のニック・ファルド以来、20年ぶりの優勝を果たして閉幕した。最終日のハーフターンまで首位を快走し、逃げ切りは盤石かと思われたジョーダン・スピース(米国)が、12番(パー3)で池に2回も打ち込むなど大失速。まさかの2位タイに終わった。

「やっぱり、何が起こるか分からない」

7位タイだった松山英樹は実感をこめて語った。「やっぱり、(オーガスタでは)何が起こるか分からない。ハーフターンが終わった時点では差をつけていたジョーダンが、ああいうふうに逆転される。怖いなと思いました」

一方のスピース。12番を振り返り、「信じられないぐらいタフな時間だった。できればもう二度と味わいたくないね」。淡々とした口調だったがゆえに、心の傷の深さが強烈に印象に残った。

自らへの落胆と悔しさは、ホールアウト直後に目が潤んでいたようにも見えた松山英樹も、同じだった。4番(パー4)から一気に4打も落とし、事実上、この時点で優勝戦線から脱落してしまった。松山は開口一番、「悔しい」。それも聞こえないほどの小さな声だった。1番、18番を振り返り「フェアウエーの一番いいところで、(ティーショットの)飛距離も出ていた。短い番手(のアイアン)で打てるのに、ミスをした。いろいろ考えないと……」。

24歳はショートアイアンの精度の高さを武器に米ツアーでのし上がってきた。飛距離はさほどでなくても、1ラウンドあたりに奪うバーディー数は1位。伸ばし合いの展開に持ち込めばマスターズでも勝機は十分、という腹づもりだったはず。3日目終了後、「伸ばせば、まだまだチャンスがある」と話した松山。「とにかく普通に。少しでも落ち着いてプレーしたい」

「メジャー初優勝を」の意欲空回りか

が、その「普通に」のメンタリティーを維持することが難しかった。象徴的だったのが6番(パー3)。ピンまで約50ヤードからの2打目は打ち上げのショットだったが、ワンバウンド目はカラーの手前。いったんはグリーンに乗ったものの、きつい下り傾斜のせいで勢いよく滑り下っていった。グリーン右奥に切られたピンを狙ったにしては、信じられないほどにアプローチがショートした。今大会初のダブルボギーが、最終日の大事な場面で出てしまうあたりがメジャーの優勝争いの重圧なのだろう。

「ドライバーやロングアイアンでは(最終日に)あまりミスすることはなかった。逆にショートアイアン、ミドルアイアンをミスした。苦しかった」と松山。飛距離で少々後手に回ろうが、2打目、3打目でピンに絡める手堅いゴルフこそ「松山らしさ」。何とか伸ばしてメジャー初優勝を、という意欲が空回りし、どこかで冷静さが欠けていたのだろうか。

最終日のショットの乱れは、データ上にもくっきりと見て取れる。松山のパーオン率は初日が50%ちょうど(63位タイ)。2日目を55.56%(46位タイ)とし、3日目は77.78(2位)と一気にあげてきた。それが最終日は55.56%(29位タイ)へと急降下。4日間通算ではスピースと同じ59.72%(30位タイ)にとどまり、優勝したウィレットの66.67%(6位タイ)より大きく劣った。

平均飛距離にみえる松山の心象風景

平均飛距離をみると、気まぐれに強風が吹きつけた初日、2日目こそ278.0ヤード、269.1ヤードだったが、3日目は296.0ヤード。風がおさまった最終日は300.4ヤード。これは米ツアー屈指の飛ばし屋、ダスティン・ジョンソン(米国)を上回り、生涯グランドスラム(四大大会制覇)を狙ったロリー・マキロイ(英国)、世界ランク1位のジェーソン・デー(オーストラリア)をもしのいだ。

そんな「らしくない」飛距離こそ、攻めよう、伸ばそう、という気持ちが空回りした松山の心象風景を示していたような……。コースを熟知したマスターズにあってメジャー初制覇に手が届く位置にいる、という前のめりの思いは、飛距離では効果的だったがアプローチを含めた小技ではプラスに働いたとはいえなかった。

後半はショットの安定感を取り戻したが、今度はグリーン上で天をあおぐシーンが目立った。松山に限らず、デーら主力選手の多くが「今年のグリーンは固くて、すごく速い。昨年とは全く別物だ」と話したが、ショットが精度を取り戻しても、今度は自ら課題としていたパットが、大事な場面で決まらない。

12番(パー3)では約4メートルがカップにけられてパー。13番(パー5)では約2メートルのイーグルパットを決められずバーディー止まり。14番、15番(パー5)でもチャンスを外した。12番から3連続バーディーを奪った2日目のように、最終日でもこの4ホールでとんとんとスコアを伸ばせたら、バックナインの終盤の雰囲気が変わったはずだ。試合の展開が別のものになっていた可能性がなかったとは言い切れないだろう。

着実に成長、衆目が一致するところ

もっとも、チャンスにつけたパットを松山が次々と外した原因は、前日から持ち越した迷いがあったから。3日目は15番で2打目を奥のカラーにつけると、パターで3回打ってパー。続く16番(パー3)では3パットのボギー。その嫌な記憶がぬぐいきれなかったという。

「昨日の15番ぐらいからおかしくなった。それを修正しきる力がなかったのが事実」と話した松山は、「どうやったら良くできるのかは、まだ、わからない」。昨年大会と比べると、構える際に両足のつま先を少し内側に向けるなど、パットのストロークを安定させるためのあれこれの工夫はこらしているようだ。それらの試行錯誤がメジャーのサンデーバックナインでスコアを伸ばす爆発力をもたらすまでに至っていないのが、24歳の現状だ。

ただ、松山は着実に成長を遂げているのは衆目が一致するところ。プロとして3年連続の出場となった。それも日本勢でただ一人でオーガスタで戦っている。2014年は初日に80をたたいて予選落ちし、昨年はスピースの独走の陰に隠れ、さほどの重圧を感じぬままの5位だった。優勝争いのさなかにあって崩れつつも7位と踏ん張った今年の経験こそ、来年に生きてくるはずだ。

予選落ちの屈辱。5位という上位に立った経験。そして優勝争いの重圧の中で7位にとどまった自信。「来年、またここに戻ってきたときにもっといいパットができるよう、しっかり練習したい」。松山はそう語った。

メジャーで勝つことへの新たな動機

米ツアーに本格参戦して3シーズン目。悔しさを抱えた24歳には、メジャーで勝つことに対する新しいモチベーションが生まれてもいる。それは、試合数が思うように増えない日本の男子ツアーを、海の向こうから眺めたときに心に浮かんだ、危機感にも似た思いだ。

第3ラウンド終了後、松山が公式会見に呼ばれたときのこと。「あなたがメジャーに勝つことの意義は?」と聞かれ、迷わずこういった。「今の日本の男子ツアーは女子ツアーと比べたら人気がない。僕が優勝すれば(注目も高まり)変わってくれると思う」。最終日のホールアウト後も「自分の課題をしっかりと克服できたら、(優勝の)チャンスは作れると思う。自分がいいプレーをしたら、日本の男子ツアーへの見方も変わってくれると思うんです。もっと優勝争いをして、いいニュースを届けられるよう頑張りたい」。

たぶん、これまでは"自分"がメジャーで勝つことが目標だった。米ツアー2勝目を挙げた今、自身が勝つことによる日本のゴルフ界へのインパクトまで思いが至るようになった。ゴルファーとして背負うものを自覚しているあたりも、松山の成長を感じさせるものだった。

(奈良部光則)

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