乗員は周囲の確認不要に、ダイムラーの自動運転車
ドイツDaimler(ダイムラー)は、Mercedes-Benzブランドの自動運転車のコンセプトカー「F015 Luxury in Motion」を、家電見本市「2015 International CES」の基調講演で発表した。自動運転中に乗員が周囲の安全を確かめる必要はなく、前席の2座を回転させて後ろに向け、後席の2座と向かい合わせで座れる。ユーザーが自ら運転したいときは、前席を前向きに回転させることでステアリングを操作する。
基調講演に登壇した同社Chairman of the Board of ManagementのDieter Zetsche氏はF015について、「将来の自動車を見据えた革新」と語り、ユーザーに自由な空間を提供できるとした。コンセプトカーであり、実用化の時期は未定である。
車両寸法は全長5220×全幅2018×全高1524mm、ホイールベースは3610mm。車両の左右に観音開きのドアを備え、Bピラーはない。
タイヤは26インチで、走行抵抗を小さくするために狭幅化したものを採用。車両のボディーには炭素繊維強化樹脂(CFRP)やアルミニウム合金、高張力鋼板を多く使い、「一般的な量産車に比べて車両重量を4割軽くした」(Daimler)とする。
車室内には6面のディスプレーを搭載。身振りや目の動き、手で触れることで音楽や通信機能などを操作できる。さらに、車外の歩行者とのコミュニケーション機能を用意した。例えば歩行者が車両の前を横切るときにはヘッドランプの色などを変えたり、暗い場合には歩行者の進路を照らしたりすることができる。
コンセプトカーは燃料電池車で、最高速度は「250km/hに達する」(Daimlerの技術者)という。搭載する水素タンクはCFRP製である。
(日経テクノロジーオンライン 清水直茂)
[日経テクノロジーオンライン 2015年1月7日掲載]