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賞金王・小田孔明「海外でしっかり結果残したい」

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男子ゴルフの小田孔明(36)は昨年、最終戦の日本シリーズJT杯(東京よみうりCC)までもつれ込んだ厳しい戦いを制し、念願の賞金王の座に就いた。2015年は2年連続賞金王、国内メジャー制覇、海外での活躍を目標に掲げる。激動のシーズンを終えた新王者にインタビューした。

今年も賞金王狙い、だんだん欲も

――09年から公言してきた賞金王どりを達成。正月を迎え、実感はわいてきたか。

「よくわからない。去年の暮れは食事会やゴルフなど忙しすぎて、録画された自分のゴルフもまだ見ていないし。疲れも残っている。壱岐・対馬まで船で行ってブリ釣りを1日したけれど、ヒラマサの子を釣っただけ。でも(12月に山形・酒田工場にも出向いた用具契約先の)本間ゴルフの人や家族、スタッフはじめ、みんなが『賞金王』『おめでとう』と言ってくれ、喜んでくれる。いろんな賞もとったし、やっぱりうれしい。これまで賞金王と言い続けても半信半疑だったけど、とれたのは自信になる」

「世界ランクは今まで13年の67位が最高だったが56位に。ちょっとずつ自己ベストを更新できている。50位の壁はきついけれど、今年頑張れば、40位台に入れるかな。もちろん賞金王も狙っているし。だんだん欲が出てくる。16年のリオデジャネイロ五輪には日本代表になって出たい。全米オープンなど四大メジャーも全部出てみたい。マスターズはランク50位以内に入れなかったから、しゃあないっすよ。(特別招待は)マスターズ委員会が決めることだから……。気になって、不安でしかたないけど」

藤田さんがいたから頑張れた

――昨年を振り返って。

「やっぱり藤田(寛之)さんの存在が大きい。藤田さんがいたから頑張れた。自分がずっと賞金ランクトップだったら、守りのゴルフになって、(最後は)抜かれたかもしれない。試合は逃げ切り勝ちが多いけれど、追っかけるほうが好き。藤田さんに抜かれた時に『藤田さんの独走を許すわけにはいかない』と思いブリヂストンオープンで優勝できた。きつかったけれど、そこから『もう抜かれたくない』という思いが強まった。日本プロ日清カップヌードル杯、セガサミー杯と勝てる試合で勝てず、メチャメチャ悔しかったし」

「(藤田、近藤共弘、岩田寛と)誰が賞金王になるか最後までわからなかったから、見てる方は楽しかったかも。やっている人間は(精神的にも疲れ)面白くないけどね(笑い)。3連続バーディーで締めた日本シリーズ(3位)は最高の終わり方ができた。みんなが『賞金王のゴルフをしたな』と思ってくれたのがうれしかった。ずるずる落ちて賞金王になるより、自分のためにも良かった」

――反省材料、課題は?

「ミズノオープン(岡山・瀬戸内海GC)、日本ツアー選手権森ビル杯(茨城・宍戸ヒルズCC西)、KBCオーガスタ(福岡・芥屋GC)と苦手な試合で予選落ちした。苦手な試合はつくっちゃいけないのに。瀬戸内海GCは、どこに打てばいいのかイメージが出ない。ちょうど僕がドライバーで打ちたい距離にポットバンカーがあるし。セカンドの距離感も合わない。日本の試合で刻むのも何だし。宍戸は嫌いなコースじゃないけれど、なぜか合わない」

バンカーショットも練習する必要

「(平均ストローク1位、パーオン率3位、平均パット数5位、平均飛距離9位など、部門別ランクは軒並み上位だが)サンドセーブ率が89位(39.13%)で圧倒的に悪い。足を引っ張っている。僕は基本的に『バンカーに入れなきゃいい』と思っているから、国内では練習はしない。バンカーはコースによって砂質も違い、柔らかいと目玉になる。練習しても意味がないと。昔からアプローチ練習もしていなかった。ただ、海外に行くようになるとそれじゃあいけないなと。バンカーショットも練習をすればうまくなると思うけれど」

「ベストゲームはないんですよね。いつもは優勝した試合が『どうだ~』って感じだけれど。関西オープンは(藤本)佳則が崩れてタナボタ。ブリヂストンオープンは、あれでよく勝てたなあという試合。日本プロは勝てる内容だったけれど、最終日の(14番からの)3連続ボギーが痛かった。セガサミーは『勝てるな』と思ってしまって、攻める自分のゴルフを最後はできなかったのが悔しい。初めてプレーオフで負けたし」

セントアンドルーズで勝てたら…

――今年は全英オープンはじめ海外試合が多くなる。

「飛行機の乗り継ぎとかはきつい。クラブがちゃんと届くのかって心配にもなるし。今年の日程を見ると、外国から帰ってすぐ試合だし、かなりきついけれど、賞金王になれたことで一つステージが上がれたかなと思う。自信を持ってゴルフができる。オフにしっかりトレーニング、打ち込みができれば、自然に結果はついてくると思う。何も不安はない。海外挑戦するだけでなく、しっかり結果を残していきたい。自信をつけて国内に戻り、いい成績を残してまた次の海外メジャーへ。海外で活躍した姿を日本で見せたい。それがプロ。ギャラリーが少しでも多くなり、盛り上がるのが大事」

――セントアンドルーズ開催の全英オープン切符は既に獲得。今度で5度目の出場になる。

「オールドコースはゴルフの原点。(少年時代に読んで全英に憧れた、ちばてつやの漫画)『あした天気になあれ』もあるし。僕の中では全英が世界で一番の大会。米国じゃない。マスターズは特別だけれど……。10年大会は、メチャメチャ感動した。練習ラウンドで18番の石の小橋を渡ってR&A(ロイヤル・アンド・エンシェントクラブ)の建物を見たら涙が出てきた。セントアンドルーズという舞台で勝ったら、かっこいいだろうなあ」

全英に慣れ、今年はリベンジしたい

「(2度目の全英出場だった)5年前はパターイップスにかかっていた時で、感動だけで終わった。『何をやっているんだろう。もっとやれただろうに』って。今年はリベンジしたい。去年、初めて予選を通ったし、慣れてきた。地面が硬くてクラブがはじかれるから、ボールを拾いやすいクラブのほうがいい、などと準備ができるようになったのが大きい。グリーンが大きくてアンジュレーションがあるから、アプローチもサンドウエッジだけでなく9番、8番アイアンやパターを使ったり」

――今季の始動は?

「新年は5日に本間ゴルフのイベント、6日は選手会理事会、7日は魚釣りをして8日からトレーニングをスタート。1月は毎年グアム合宿へ行くし、2月には宮崎合宿もしたい。試合は2月にタイでアジアンツアー、3月は(世界選手権シリーズの)キャデラック選手権(米フロリダ州)もある。もしマスターズに出られれば、早めに渡米する」

上半身鍛え、40代後半まで第一線で

――オフはどんなトレーニング、練習を?

「昔からハードなトレーニングをやってきたから、今はあまりやりたくないけれど、上体と下半身を連動させるトレーニングをしないと、さすがにまずい。胸や上腕の筋肉が落ちてきた。胸の筋肉がないと自分じゃないみたいで、見た目が嫌だし。(元プロ野球選手の)城島健司さんら他のスポーツ選手からも『上半身も鍛えたほうがいいよ』って言われる。上半身を鍛えて筋肉を柔らかくする運動もすればもっと飛ぶし」

「20代の頃に比べると筋肉が落ちるスピードが半端じゃない。寝ると疲れが取れると思ってたけれど、そうはいかないし。やるしかない。藤田さんは40代になって痛いところもあるのに、それでも頑張れるからすごい。(片山)晋呉さんもゴルフ場に来ても風呂場ですごいトレーニングをやっている。ゴルフに対する姿勢を見習うべき選手はいっぱいいる。長く続けている人はそれなりのことをやっている。自分は小さい頃のトレーニングの余力だけかもしれない。それに甘えちゃいけない。40代後半まで、第一線でやりたいと思っているから」

(聞き手は吉良幸雄)

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