王座つかめ錦織 全米テニス、9日朝に男子単決勝
日本人で初めて四大大会決勝に進出した錦織。現時点で世界ランキングは11位から8位以内が確実となり、優勝すれば5位まで上がってアジア勢歴代最高ランクとなる。
対戦相手のチリッチは198センチの長身を生かしたビッグサーバー。錦織の4回戦の相手、196センチのミロシュ・ラオニッチ(カナダ)と似たタイプだ。
錦織より1歳上の25歳だが、ツアー歴は長く、2009年以降トップ20位以内をほぼ維持する。昨年はじめまでは錦織よりやや格上という選手だった。最近は01年ウィンブルドン優勝者、ゴラン・イワニセビッチ氏(クロアチア)に師事。テニスが少しずつ変わり、「展開の速いテニスをするようになってきた。守備を意識しないといけない」と錦織は言う。
チリッチは準々決勝のトマーシュ・ベルディハ(チェコ)、準決勝のロジャー・フェデラー(スイス)と展開の速い選手を圧倒、ストレートで勝ち進んだ。特に準決勝は「テニス人生最高」と自賛するプレーで付け入る隙を与えなかった。
錦織は3回戦までストレート勝ち。4回戦ではサーブ、準々決勝はバックハンドと、それぞれ強烈な相手の武器を封じ、4時間超えの試合を制した。準決勝は第1シードのノバク・ジョコビッチ(セルビア)の強固な守備をストロークで崩した。チリッチは錦織について「後ろから強打してくる。僕らはスタイルが違う。自分のゲームに集中してリズムを崩したい」と警戒している。
体力面を不安視されがちな錦織だが、膿疱(のうほう)切除手術で試合を離れたおかげで例年より心身の疲労が少なく、表情が明るい。「3週間も離れるとテニスに飢えてくる。それもいい」と、1989年全仏王者のマイケル・チャンコーチは、そう話している。
(原真子)