アルゼンチン、9度目の債務不履行 再編交渉は継続
【サンパウロ=外山尚之】南米アルゼンチンは22日、同日が支払期限だった5億ドル(約540億円)規模の国債の利払いを行わず、形式的なデフォルト(債務不履行)状態となった。債権者団との債務再編交渉がまとまらなかった。両者は6月2日まで交渉を続けるが合意できるかは流動的だ。
アルゼンチンのデフォルトは6年ぶり9度目。農業部門の低迷や通貨急落に苦しんでおり、新型コロナウイルスの流行が追加の打撃となっている。
アルゼンチン政府は米欧の機関投資家が保有する総額660億ドル規模の国債の利払いや元本の削減を目指し、債務再編交渉に臨んできた。外貨準備高は約430億ドルと当面の利払い余力は十分にあるが、交渉が決着していないことからあえて支払いを見送った。
4月から国債の利払いを止めており、22日午後6時(日本時間23日午前6時)が利払い猶予期間(グレースピリオド)の期限となっていた。猶予期間中の交渉決着を目指していたが、3年間の支払い猶予を求めるアルゼンチン側と、期間の短縮を求める債権者団が折り合えなかった。
債権者団が3つのグループに分かれるなか、米ブラックロックやフィデリティなどで構成する債権者団は22日、交渉延長に応じると発表。ほかの2グループも交渉継続には前向きで、当面、訴訟には進まないとみられる。
今後は政府側と債権者側がそれぞれどこまで譲歩できるかが焦点となる。米ブラックロックなどで構成する債権者団は元本や利払いの削減について、当初の提案から譲歩する姿勢を見せている。一方、声明では「この1カ月、アルゼンチンは事実上、債権者団と実質的な関与をしてこなかった」として、アルゼンチンに譲歩の姿勢がないことを非難する。
アルゼンチンでは左派のフェルナンデス大統領が19年の大統領選で対外債務について「払う必要が無い」などと述べて当選した。「現在の債務は持続不可能だ」として強硬な態度をとる。延長期間中に歩み寄れなければ、債権者側が交渉を諦め法廷闘争に移るリスクも残る。2001年のデフォルトでは、米ファンドとの泥沼の法廷闘争に発展した。
新型コロナウイルスの拡大により、新興国の債務問題が各地で浮上している。3月には中東でレバノンが同国初のデフォルトとなり、南米の産油国エクアドルも資源価格の下落を受けて国債の利払いができず、事実上のデフォルト状態に陥った。アルゼンチンも通貨ペソは闇市場で大幅安となっており、年初来からの下落率は4割近い。デフォルト状態が長引けば、低迷する経済のさらなる足かせになりそうだ。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?