JR四国、4月前半の利用7割減 定期列車減も検討
社長「会社発足以来、最大の危機」
JR四国が運行する鉄道の利用客が大幅に減少している。新型コロナウイルスの影響で、足元の利用者数は前年比7割減で推移。JR四国の半井真司社長は17日の記者会見で、利用者の減少に歯止めがかからなければ、「ダイヤ改正で定期列車を減らす可能性もある。会社発足以来、最大の危機に陥っている」と危機感を示した。
JR四国がまとめた4月1~15日の運輸取扱収入(速報値)は、6億8000万円と前年同期比68%減だった。運輸収入には通勤・通学者による定期券購入と、切符や特急券などの「定期外」の収益が含まれる。
通常時には主な収益源である定期外が前年比8割減まで落ち込み、定期収益を下回っている。半井社長は「定期外の収益が定期を下回るのは聞いたことがない」と述べ、観光客だけでなく四国4県を往来する利用客の減少に危機感を募らせる。
一方で、感染拡大を防止するため県内外の利用者が外出を控えていることには理解を示し、「1日も早い収束を迎えるのが、最大限の今できること」と話した。
運輸収入は2月以降、落ち込み幅は拡大している。2月は前年の同時期に比べ16%減、3月は同52%減、4月1~15日は同68%減だった。3月の下落率は1カ月間分の落ち込み幅として過去最大を更新した。半井社長は5月以降の収益の見通しを「大型連休の予約状況はかなり悪い。4月以上に減少することを覚悟している」と話した。
利用者数が回復しなければ、JR四国の経営問題に発展する可能性がある。まずは運休する列車の本数を増やしたり、その期間を延長したりといった対応を検討する。その上でも需給バランスが合わなければ、ダイヤ改正で通常時の運行本数を減らすことを検討する。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、全国のJRで利用者数が減少している。JR北海道は1000人超の従業員を一時帰休させる方針だが、JR四国は「ワンマン運転などを進めているので大幅な(帰休)人員が発生するのは考えにくい」(半井社長)と現時点では否定的な見解を示した。役員の報酬カットは検討する。
新型コロナウイルスの感染症法上の分類が2023年5月8日に季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行しました。関連ニュースをこちらでまとめてお読みいただけます。
-
【よく読まれている記事】
- 新型コロナウイルスは体内にいつまで残るのか
- 「コロナに決してかからない人」はいるのか?
関連企業・業界