WeWork幹部がソフトバンクGを提訴 株買い取り巡り
【ニューヨーク=大島有美子】米シェアオフィス大手のウィーカンパニーの取締役2人は7日、ソフトバンクグループ(SBG)によるウィー株の買い取りを巡り、SBGを提訴したと発表した。米株式相場の急落などを受け、SBGが2日に既存株主からウィー株の買い取りを実施しないと表明したことへの対抗措置だ。SBGは「現時点でコメントしない」としている。
SBGが2019年10月にウィーの経営支援に入る前から社外取締役を務める2人が、ウィーの「特別委員会」として発表した。SBGはウィーの経営支援発表時に、最大30億ドル(約3200億円)分を既存株主から買い取る計画としていたが「条件が満たされない」として撤回した。
特別委員会は訴訟も含めた法的措置を検討していた。声明では「SBGの行動は何百人もの現在と以前の従業員を含めた少数株主に対する義務に反している」と表明した。さらに「SBGはアクティビスト(物言う株主)の圧力にさらされ、株の買い取り条件を満たさないよう意図的に画策している」と指摘し、SBGの姿勢を批判。予定通りの株の買い取りを要求した。
一方、SBGは7日、ウィー幹部による提訴に対して「SBGの(株を買い取らないという)決定に対して、全く論理的に反証できていない」として「大いに抗戦する」との声明を出し、裁判で争う方針を示した。ウィー幹部の主張については「自暴自棄で、過去半年の歩みや合意を間違った方向に導こうとするものだ」と反論した。
SBGは傘下のファンドも含めてこれまでウィーに142億5000万ドルを投じたという。「ウィーの成功に向けて全力で取り組み、戦略的な5カ年計画を経て利益の出せる将来像を確実なものにする」と述べ、ウィーの支援からは手をひかない姿勢を改めて示した。