大企業のスタートアップ投資 新型コロナで急減
CBインサイツは最近のリポートで、新型コロナウイルスの感染拡大によるスタートアップ企業全体やシードステージ(設立間もない)企業の資金調達への影響を取り上げてきた。
今回のリポートでは、CVC投資への影響に目を向ける。ここでCVC投資は、CVCまたは大企業による未公開企業への投資と定義する。
20年1~3月期の世界のCVC投資額は前四半期比13%減の340億ドルだった。投資件数は1337件で、前四半期比で19%減、前年同期比で24%減となった。
これらの数字にはCVCや大企業が参加した全てのエクイティファイナンス(新株発行を伴う資金調達)が反映されている。
新型コロナの感染拡大による経済の先行き不透明感から、大企業は一段のコスト削減に取り組むとみられる。このため、20年4~6月期の投資は抑え気味になる可能性が高い。
米国では、20年1~3月期のCVC投資件数は406件にとどまり、前四半期比では7%減、前年同期比では22%減となった。
一方、投資額は計150億ドル近くに上り、前四半期比では10%増、前年同期比では8%増になった。
アジアでは、件数も金額も減少した。20年1~3月期のCVC投資額は前四半期比24%減の120億ドル弱、投資件数も同24%減の562件だった。前年同期比では件数が27%減、金額が1%減となった。
新型コロナの感染拡大の影響にもかかわらず、アジアの一部の大手CVCは域内企業への投資を続ける底力を見せている。20年1~3月期の投資活動が最も活発だったのは中国ネット大手の騰訊控股(テンセント)で、みずほフィナンシャルグループのみずほキャピタルが2位につけた。
20年1~3月期のテンセントの投資件数は17件とアジアで首位に立ったが、19年7~9月期の22件、同10~12月期の21件からは減少した。
同社は1~3月期に1回の調達額が1億ドルを超える「メガラウンド」に3件参加したことも明らかにしている。北京に拠点を置くオンライン不動産取引プラットフォームの貝殻找房(Beike Zhaofang)が実施したシリーズDの資金調達ラウンド(調達額15億ドル)はその一つだ。
みずほキャピタルの参加件数は12件で、19年7~9月期と10~12月期のいずれも11件からやや増えた。
中国のスマートフォン大手、小米(シャオミ)は9件で、7~9月期の7件、10~12月期の8件から増加した。