政府の景気判断、6年9カ月ぶり「回復」削除
政府は26日にまとめた3月の月例経済報告で、景気は「新型コロナウイルス感染症の影響により、足元で大幅に下押しされており、厳しい状況にある」との判断を示した。6年9カ月ぶりに「回復」の文言を削除した。政府として判断を大幅に下方修正し、国内景気を下支えするための超大型の経済対策の策定につなげる。
政府は月例経済報告で月に1度、各種統計や内外の情勢を踏まえて、景気に対する公式見解を示す。景気判断の引き下げは3カ月ぶり。基本的な景気の見方は2018年1月から「緩やかに回復している」で維持してきた経緯がある。先行きについても「厳しい状況が続くと見込まれる」とした。
「厳しい状況にある」との表現は、リーマン・ショック後の09年や東日本大震災が起きた11年に使われていた。
現状判断で上げ下げを決めている個別項目のうち、個人消費、設備投資、企業収益、雇用情勢など7項目の判断を引き下げた。新型コロナウイルスの経済への影響は、政府がイベント自粛や臨時休校を要請した2月下旬以降、深刻さを増した。
感染症の広がりで街角の景況感は急激に悪化しており、サービス・財ともに消費が大幅に減った。先行き不透明感やサプライチェーン(供給網)の混乱から、生産や投資など企業活動にも悪影響が広がっている。これまで改善を続けてきた雇用情勢にも、足元で有効求人数が減少するなど心配な動きがみられる。