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離脱の英国、車産業の苦境が映すものづくりの衰退

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NIKKEI BUSINESS DAILY 日経産業新聞

英国の自動車産業が試練に直面している。欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感から、2019年の生産台数は9年ぶりの低水準だった。20年末までのEUとの通商交渉が決裂すれば関税が復活し、生産の維持が難しくなる。メーカーはいずれ電気自動車(EV)にカジを切る。ものづくりの場所としての魅力を維持できるかどうかの瀬戸際に立たされている。

英自動車工業会(SMMT)によると、19年の乗用車生産台数は前年比14%減の約130万台。EU離脱を巡る不透明感はすぐに拭える兆しはなく、20年の見通しは当初より5万台少ない127万台に下方修正した。

生産台数は、英国が国民投票でEU離脱を決めた16年から減り続けている。国民投票前のSMMTの予想では、18年には200万台に達して過去最高だった1972年を超えるはずだったが、大きく計画が狂った。

1月31日にEUを離脱し、11カ月は関税ゼロなどの現状が維持される「移行期間」だ。この間にEUと通商交渉が結べなければ完成車に10%の関税がかかり、英国産の車の競争力が落ちる。SMMTのマイク・ホーズ会長は「10%の関税がかかれば年45億ポンド(約6200億円)のコストとなる。交渉妥結に向け政府と連携を密にする」と話している。

すでに投資は減っている。19年の投資額は11億ポンドと、過去7年の平均の約4割にとどまった。英国の自動車産業はEUから部品を輸入して完成車を輸出するサプライチェーン(供給網)で成り立っている。関税や通関作業が発生すれば深刻な打撃となるだけに、新規投資をする状況にはない。

生産減はEU離脱が一因だが、一歩引いてみれば英国のものづくりの拠点としての魅力が下がっていると言える。

ホンダは21年に英国での生産から撤退する。生産の半分を米国に輸出しているため、欧州で造り続けていれば競争力を維持することが難しかった。欧州域内で造るにしても他に人件費が安い国があり、トヨタ自動車はポーランドで新エンジンの生産を始めた。

80年代、炭鉱閉鎖などに伴い失われる雇用を確保しようと、当時のサッチャー政権が誘致したのが日本の自動車メーカーだった。だが現政権はEU離脱を巡る議論の中で高度人材の確保には躍起だが、製造業を後回しにしている感がある。地方の雇用を支える自動車産業が衰退すれば、国内経済の基盤が揺らぐ。

「我々は二酸化炭素(CO2)排出に対処しなければならない」。ジョンソン首相は2月、ガソリン車とディーゼル車の英国内での新規販売を35年までに禁じる方針を示した。政府の気候変動対策の目玉として従来の目標から5年前倒ししてEV化を促す。今から15年で生産体制を大幅に転換することを意味する。

だが、ただでさえ関税がどうなるか分からず不安を抱えている自動車業界はこれに猛反発している。SMMTは「こうした重大な問題で消費者と業界のゴールポストを政府が動かしたことは非常に懸念される」との声明を出した。

SMMTのホーズ会長は1月上旬、米ラスベガスにいた。世界最大のデジタル技術見本市「CES」でIT(情報技術)企業関係者と商談するためだ。「英国は(インターネットに接続して多様なサービスを受けられる)つながる車や電気自動車など次世代技術に最適の場所」とアピールしたが、自動車生産の拠点としての魅力が下がってしまえば、投資誘致もままならない。

ジョンソン政権が19年12月の選挙で大勝して念願のEU離脱を達成できたのは、地方の労働者らの離脱票を取り込んだからだ。EUの単一市場に残る経済的な合理性を置き去りにし、「とにかくEUを出たい」という愛国心をくすぐったジョンソン氏は、製造業の現実を直視しているだろうか。

20年末までの11カ月で通商交渉をまとめ上げるのは至難の業だ。ものづくりの拠点として魅力を回復できなければ、3500人の直接雇用を抱えるホンダにとどまらず、さらなる外資撤退を招きかねない。

(ロンドン=佐竹実)

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