トレーニングから就活まで 横浜M・大津らが学生支援
サッカーJ1の横浜マリノスに所属する大津祐樹が今年1月から、日本代表の酒井宏樹(マルセイユ)と共同で、大学のサッカー部員を支援するプロジェクト「Football Assist」を始めた。
大学の男女の公式サッカー部に所属する学生で「Football Assist」に登録した選手は東京都千代田区に開設されたジムで、大津のパーソナルトレーナーのフィジカルトレーニングを受けられたり、スパイクやプロテインなどを割引価格で購入できたりする。就活支援にも取り組んでおり、ジムで会社説明会やセミナーを開催するほか、キャリアアドバイザーによる就活相談も受けられる。現在、全国で約5000人の学生が登録しており、地方に住む学生向けにはトレーニングの動画も配信している。
■大学生との会話からヒント
大津と酒井宏は2016年に幼児から中学生までを対象にサッカースクールを立ち上げていたが、より上の年代の選手たちにアプローチしようと同プロジェクトを立ち上げたという。プロジェクト発足に際して、大津が多くの大学生と会話を交わした中で「一番大きな悩みは就活だった」。4年間みっちりサッカーに浸る学生にとって、学生生活の半ばから始まる就活は悩みの種だった。「サッカーに携わり、努力をしてきた人たちが報われるような世界をつくりたい」。キャリア支援に力を入れるのはその思いからだった。
プロの世界に入れば、年齢に関係なく一人前の大人として扱われる。高校卒業後にプロ入りした大津にとって、自分の行動全てに責任を負う環境にいきなりなじむのは大変だったという。それは大卒の選手も同じ。プロとは? 社会人とは? 自身もジムを訪れて大学生と交流するのは「プロの世界を学生に伝える機会が必要だ」という強い気持ちがあるからだ。
中古不動産への投資アプリなどを手がけるGAテクノロジーズがメインスポンサーで、備品の割引購入はフタバスポーツや明治の協力を得ている。学生が無料でトレーニングや説明会に参加できる環境を整えた。
大津は企業と対話する中で「(サッカーの)チームプレーや判断力はビジネスにおいても必要なスキルということで、評価してくれる企業が多いと感じる」という。大学4年間をどう過ごすべきかを聞くと「社会に出る前に自分の武器を知ってほしい」と力を込めた。ピッチ上では味方のために全力で走る大津が、ピッチ外でもサッカー界の後輩のために労を惜しまない。
(田原悠太郎)