英中銀次期総裁、新型コロナ「差し迫った課題」
【ロンドン=篠崎健太】英イングランド銀行(中央銀行)の総裁に16日に就くアンドリュー・ベイリー氏が4日、英下院財務委員会の公聴会に出席した。新型コロナウイルスの感染拡大について「最初の最も差し迫った課題になる」と語り、対応に万全を期す構えを示した。「非常に迅速な対応が必要になる」と強調し、景気の下支えへ早期の利下げを排除しない姿勢をにじませた。
金融政策に関して公の場で発言するのは、2019年12月に総裁に内定してから初めて。
4日のロンドン市場では英国の10年物国債利回りが一時0.33%台に低下(債券価格は上昇)し、過去最低を更新した。米連邦準備理事会(FRB)が3日に緊急利下げに動き、英国も追随するとの観測が高まっている。イングランド銀は26日に金融政策の発表を予定し、ベイリー氏にとって最初の政策判断となる。
新型コロナによる経済の悪影響として、特に中小企業への打撃が懸念されると指摘した。「サプライチェーン(供給網)を支える何らかの資金支援策が必要になるだろう」と語った。財政と金融の両面から総合的な政策支援が必要だとし、英財務省とも話し合っていることを明らかにした。
26日より前に緊急利下げする可能性を議員に問われると「率直に言って(経済影響などの)証拠がもっと必要だ」と述べるにとどめた。
イングランド銀は17年11月に利上げ路線に転じ、18年8月に追加利上げして政策金利は現在、年0.75%としている。利下げする場合の下限は「0.1%程度」とした。カーニー現総裁の方針を踏襲し、マイナス金利政策は銀行への副作用などの懸念から採らない考えを示した。
ベイリー氏はイングランド銀の生え抜きで、副総裁を経て、16年から英金融監督当局である金融行為監督機構(FCA)の長官を務めている。
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