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スポーツの可能性示す、ラグビー「にわかファン」急増

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日本のスポーツ史上、異例の人気爆発だった。昨年のラグビー・ワールドカップ(W杯)日本大会は、予想を上回る人々を引き寄せ、全国に熱狂を生んだ。「にわかファン」という言葉も広がり、国内のトップリーグ(TL)にも人気は波及している。人気拡大の理由や新たなファンの特徴について、各種のデータを基に考えてみた。

「ここまで注目されるとは思わなかった」。昨秋以降、国内のテレビ局のスポーツ担当者が一様に驚いたのがW杯のテレビ視聴率だった。準々決勝の日本―南アフリカ戦の平均世帯視聴率は41.6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)を記録。このひと月半前、W杯直前の強化試合として同じ対戦が組まれたが、その時の視聴率は僅か6.5%だった。舞台が全く違うとはいえ、同じカードでこれだけ急速に数字が高まった例はそうそうない。

どんな人が新たにラグビーを見るようになったのか。調査会社のスイッチ・メディア・ラボ(東京・港)が取得している個人視聴率のデータから性別、年代の特徴をみてみよう。

まずは他競技の世界大会の日本戦と比較する。対象は2018年のサッカーW杯(コロンビア戦)、17年の野球のワールド・ベースボール・クラシック(WBC、イスラエル戦)、19年の女子バレーボールW杯(ドミニカ戦)、19年の水泳世界選手権(最終日)。

ラグビーW杯の特徴は子供の視聴率が相対的に高いことである。4~12歳、13~19歳の視聴率を全年代平均と比べたときの割合は、5つのイベントの中で1番だった。ラグビーは50~64歳の視聴率も高かったが、50歳以上が中心のWBCや水泳世界選手権と比べ、全体的な視聴者層は若いといえる。

4~19歳からの人気が大会中に急速に高まっていったことも、ラグビーW杯の特色である。日本戦5試合の視聴率の推移をみると、最も伸び率が高かったのが13~19歳。第2戦アイルランド戦でいったん落ちたものの、続くサモア戦から急上昇。最後の南ア戦の視聴率は、ロシア戦の2.6倍に達した。20~34歳と4~12歳の伸び率も高かった。

ラグビーW杯のもう一つの驚きが、海外勢同士の対戦にも高い注目が集まったことである。決勝のイングランド―南ア戦は、世帯視聴率が20.5%(関東地区、ビデオリサーチ)に達した。放送時間帯が違うとはいえ、サッカーW杯決勝のフランス―クロアチア戦の15.5%をも上回る。

他のイベントと比べ、海外勢同士の試合の視聴率が相対的に高かったのは、13~19歳と20~34歳の女性。テレビで日本戦を見た人がラグビーそのものへの関心を持ち、海外勢の試合にもチャンネルを合わせたのだろうか。

テレビの視聴率から総合的に分かるのは、子供と女性からの支持拡大である。1990年代以降、この層のファンの獲得に苦労してきたラグビー界には朗報だろう。

次に、インターネットでの意識調査の結果をみる。調査会社のニールセンスポーツジャパン(東京・港)は10~60代の2000人以上を対象に定期的なアンケートを行っている。

ラグビーに「とても興味がある」「まあ興味がある」と答えた人の割合は、前回W杯の直後の15年12月に27%を記録した後、16年には19%まで低下。17、18年と微減したが、今回のW杯直後の19年12月には36%と急上昇。4年前の1.3倍に高まった。

今回は国内のTLへの関心も広がっている。TLに「とても興味がある」「まあ興味がある」と答えた人の割合は、15年12月の段階でも12%にとどまったが、19年12月では21%と約2倍に伸びた。今季の観客数が4年前よりも高い水準となっているのもうなずける話である。

この調査からは「にわかファン」と呼ばれる人々の特性も見えてくる。女性は「以前からラグビーが好き」と答えた人が男性より少なかったが、「にわかファン」の数では男性とほぼ同じ割合で増えている。テレビの視聴者と同じように、「にわかファン」も若年層や女性の存在感が目立つ結果となった。

新たなラグビーファンは、TLの観戦にも多く訪れているようだ。早稲田大学の松岡宏高教授(スポーツ科学学術院)は、日本ラグビー協会の委託を受け、TLの観客の調査を行っている。開幕日の1月12日に秩父宮ラグビー場を訪れた人に聞いたところ、39%の人が「にわかファン」と自認していた。

4年前のラグビーブームは1年で収束した。今回も新たなファンをどうつなぎ留めるかが課題になる。松岡教授は「今はW杯の後ということで観客が多いが、今後は競技に詳しくない人でも楽しめるようなエンタメ性が必要」と指摘。「選手はどんどん(世代交代で)変わっていくので、ファンに各チームとのつながりを持ってもらうことが大事。そのための一番のカギは『地域』ではないか」と話す。

日本協会は21年にTLを発展解消させる形で新リーグを創設する。1部リーグのチームには本拠地の設定や1万5000人収容のスタジアムの確保を要望。より地域に密着したリーグにする方針だが、詳細はまだ決まっていない。リーグ改革を実のあるものにすることも、ラグビー人気が再び瞬間風速で終わるかどうかの岐路となりそうだ。

今回のW杯で、特に子供からの人気が高まったことは、スポーツ界に一つの示唆を与えているように思える。ラグビーといえば「ルールが分かりにくい」「3K」(きつい、汚い、危険)というイメージがあり、他競技の関係者からは「現代の子供にはあまり受けない競技」という評価が多かったからだ。

なぜ通説を裏切る結果になったのか。仮説として思い出した話がある。米ニューヨーク大のブランドン・ブラウン准教授(スポーツマネジメント)が18年の来日時に行った講演の内容だ。ブラウン准教授は世代によるスポーツの受け止め方の違いを述べ、「Z世代」と呼ばれる90年代後半以降に生まれた人々について説明した。

「Z世代は(その上の)ミレニアル世代(81年~96年生まれ)とは全く違う。生まれた時からネット上でコミュニケーションを取ってきたために、逆にSNS(交流サイト)での存在感よりも実生活を重視する。『本物である』ということも大事にするし、一度好きになったものへの忠誠心も強い」と強調。「スポーツにとって、彼らの存在はチャンスかもしれない」と話していた。

この説に議論の余地はあるだろう。ただ、集団の格闘技でもあるラグビーは本物の「痛み」や「闘志」、「団結」といったものが、見た人に伝わりやすいとはいえる。日本代表のリーチ・マイケル主将(東芝)はW杯前、「大きい相手と戦う日本の勇気を見せたい」と話していたが、それが若い世代に感じてもらえたように思える。

スマートフォンの普及や娯楽の多様化により、多くの先進国は子供のスポーツ離れに悩む。五輪がスケートボードなどの都市型競技を取り込み、ゲームの技術を競うeスポーツまで視野に入れるのは、危機感の表れでもある。ラグビーW杯は、こうした流れと対極の形でもスポーツの魅力は伝わるという一つの反証になったのではないか。

(谷口誠)

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