米銀行ウェルズ・ファーゴ、不正営業で制裁金3300億円
米司法省・SECと支払い合意
【ニューヨーク=伴百江】米銀行大手ウェルズ・ファーゴは21日、不正営業問題を巡り、米司法省と米証券取引委員会(SEC)に制裁金として総額30億ドル(約3300億円)を支払うことで合意したと発表した。顧客の承諾手続きを経ずに銀行口座を開設したり、クレジットカードを発行したりする不正営業の横行が2016年に発覚していた。
ウェルズは司法省に約25億ドル、SECに5億ドルの制裁金を支払い、この資金の一部は損失を被った投資家への補償に充てられる。同行では不正の発覚後も最高経営責任者(CEO)が19年まで退任を先送りするなど、株主からは内部管理体制の遅れが指摘されていた。
今回の制裁金支払いに関して、チャールズ・シャーフ現CEOは「(不正営業の事実は)弁解の余地はない。失った信頼を回復するようあらゆる努力をする」との声明を発表した。
不正営業問題を巡っては、自動車ローンや住宅ローン部門でも不祥事が明らかになり、司法省、SECに加え、金融機関を監督する米通貨監督庁(OCC)からもすでに処分を受けている。また、米連邦準備理事会(FRB)も内部管理体制の改善が進むまでは同社の資産拡大を禁じた。
ウェルズの19年10~12月期決算は純利益が28億ドルと前年同期比53%減となった。不正営業問題に関連した訴訟関連費用が引き続き重荷となった。今回の制裁金の支払いコストは、すでに昨年に訴訟費用として確保しており、将来の収益を縮小することはないとしている。
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