黄金<白金<ダイヤ 女子ゴルフ、期待の新世代
編集委員 串田孝義
開幕を控えた2020年の女子ゴルフ国内ツアーで賞金シード権を手にした50選手のうち、1998年度生まれの「黄金世代」は11人と2割超を占める。3月5日開幕のダイキンオーキッド(沖縄・琉球GC)には、2学年下の2000年度生まれの「ミレニアム世代」の有望株がそろって出場する。この世代を「プラチナ」と呼ぶファンもいる精鋭の腕の確かさには、クラブメーカーも一目置いている。
2月初旬、東京都内のホテルで住友ゴム工業とゴルフ用品使用契約の発表会見を行ったのが安田祐香(大手前大)。「小学3年の時に坂田塾で初めて手にした新品のクラブがスリクソン。中学で初めて自分で購入したクラブがゼクシオでした」と同社との縁の深さをPRした。
同社と契約する松山英樹からも「去年のオーガスタ(ナショナル女子アマ)での活躍も見ていて、すごいなと思いました」と応援のビデオメッセージが届き、同社が安田に寄せる期待の大きさをうかがわせた。
安田は兵庫・滝川第二高2年で出た17年の日本女子アマ(奈良国際GC)を優勝。初日から首位を走った新垣比菜を最終日の65で逆転した。大会には3位に終わった新垣、5位の吉本ひかる、18位の河本結ら黄金世代の面々もいた。「2個上の世代の方が出ていた試合に勝てて、今振り返っても自信になったと思う」と語る。
その後、プロの国内ツアーに20試合出て、予選落ちは1回だけ。昨年はアジア太平洋女子アマ(茨城・ザ・ロイヤルGC)を制したほか、初開催となったオーガスタナショナル女子アマで3位、海外メジャーのエビアン選手権、全英女子オープンにも出場、37位のエビアンではローアマを獲得した。それだけにプロとしてルーキーイヤーとなる今季の目標は「前半戦でまず1勝」となかなかの強気。
安田の自信の物差しとなるのが高校の元同級生の活躍だ。昨年10月の富士通女子をアマで制した古江彩佳がそう。古江は安田とともに受験予定だった最終プロテストが免除され、すぐにプロ転向。そのまま昨季終盤の4試合に出場し、最終戦のツアー選手権リコーカップでは堂々の優勝争いを演じて2位に入るなどわずか1カ月の間に賞金2073万円を稼いでみせた。
安田が語る。「奇跡的に地元(兵庫県)も高校も(日本ゴルフ協会の)ナショナルチームでも一緒だった。お互いが高めあえる存在で、私を強くさせてくれたのは彼女(古江)のおかげ」。開幕後約1カ月のツアー第6戦、スタジオアリス女子は2人の地元の花屋敷GCよかわで行われる。ともにプロ初優勝を狙うにはまたとない舞台となる。
開幕戦のダイキンオーキッドには、安田、古江とともに同じ世代の吉田優利、西村優菜も出場する。吉田は安田が勝った翌年の18年日本女子アマ(埼玉・嵐山CC)を千葉・麗沢高3年時に制した。西村は大阪商大高3年時、安田、吉田とともに日本代表として出た18年世界女子アマ・チーム選手権(アイルランド)で歴代最高位の2位に輝くなどナショナルチームで国際経験を磨いた実力者。一人先んじてツアー優勝を飾りプロ転向した古江を加え、今季のツアー開幕戦にはプラチナの名を冠するファンもいるミレニアム世代の4銃士が全員プロとなって顔をそろえる。
17日にミズノがクラブ使用契約を発表した西郷真央は01年10月生まれの18歳。昨年の日本女子アマ(愛媛・エリエールGC松山)を勝って受験した最終プロテストで一発合格を果たした俊才を、ミズノは発表の中で「ダイヤモンド世代」と呼び、ゴルフクラブの広告塔としての大きな期待も寄せる。「ミズノは難しい、マニアックなクラブと思われがちだが、若々しく親しみやすいイメージを広めていきたい」(加藤昌治ミズノ専務執行役員)
黄金世代で昨季初優勝を飾った原英莉花と同門で、尾崎将司を師と仰ぐ。プロテストをクリア、今季前半戦の出場権を確保した昨年末の最終予選会の結果を報告した際、自身を「せごどん」と呼んでくれる師匠からは「もうアマチュアとは違うんだぞ」とプロの気構えを正されたと話す。
試合と重なり、高校の卒業式には出席できそうにないが、今季の目標には「最終戦出場」を掲げる。優勝者、賞金上位など限られた選手だけが出られるリコーカップ出場をめざすという。