米民主討論会に初登場、ブルームバーグの野心
「打倒トランプ」混戦(4)
4日夜、ニューヨーク市内の会員制施設「ペンクラブ」に100人超の投資関係者が集まった。「残念だ」。話題が前日のアイオワ州党員集会に移ると、登壇したヘッジファンド創業者は本音を漏らした。前副大統領ジョー・バイデン(77)の資金集めを支援したが、結果は4位と予想以上の苦戦だった。「混戦のまま3月を迎えればマイケル・ブルームバーグ(前ニューヨーク市長、78)の狙い通りの展開だな」
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序盤戦をあえて捨て、3月3日の予備選集中日「スーパーチューズデー」に照準を合わせたブルームバーグ。初戦直後の2月4日、ペンシルベニア州フィラデルフィアにいた。同州はバイデンの出身地。バイデンが第2戦のニューハンプシャー州に張りつく隙に大集会を開いた。
「党を団結させ、トランプと対峙できる候補が必要だ」と訴えると、約2千人の参加者が歓声を上げた。1カ月前、遊説ツアー初日の会場に集まったのは130人程度。資金力を生かした大量広告で急速に認知を高めた。全米の支持率平均を年初の3倍の15.4%に伸ばし、バイデンと僅差の3位に浮上した。
バイデンとブルームバーグはともに中道派で政策も重なる。「私が出ればジョーとの間で票が分散する」。19年9月、米CBSの番組でブルームバーグは出馬説を否定し、友人バイデンに配慮する姿勢をみせた。ところが11月、突如出馬を表明した。再び番組に出演すると、今の民主候補ではトランプに負けると切り捨て、不出馬撤回を釈明した。「彼の仕事を奪うつもりはない。お互いまだ大統領になっていないじゃないか」
ブルームバーグを知る米投資銀行首脳は振り返る。「とにかくトランプを憎んでいた」。市長退任後は慈善活動に注力。特に気候変動問題は思い入れが強く、国連特使として世界の指導者と解決策を話し合った。ところがトランプは国際枠組み「パリ協定」からの離脱を決めた。再選阻止には自分が出るしかない――。強い自負と野心、憎しみがブルームバーグを動かす。
「自分の信条に近いのはバイデンだったが、考えが変わった」。ノースカロライナ州キンストン市長、ドン・ハーディー(37)は13日、ブルームバーグを支持する全米100人超の市長に名を連ねた。スーパーチューズデーまで1カ月を切り、陣営はバイデン支持層の切り崩しを図る。苦戦する「友人」への配慮は消えた。(敬称略)
ドナルド・トランプ元アメリカ大統領に関する最新ニュースを紹介します。11月の米大統領選挙で共和党の候補者として、バイデン大統領と再び対決します。「もしトラ」の世界はどうなるのか、など解説します。