インティ、戦法で収穫 フェブラリーS連覇狙う
2020年最初の中央競馬のG1、フェブラリーステークス(23日、東京・ダート1600メートル)で関西馬のインティ(牡6、栗東・野中賢二厩舎)が同レース連覇を狙う。前哨戦の東海ステークス(G2、京都ダート1800メートル)は3着に敗れたが、収穫のある一戦だった。主戦騎手の武豊とともに、大一番に臨む。
同馬は逃げ戦法が得意。19年のフェブラリーSでも先手を取ってリズム良くレースを進め、そのまま先頭でゴールした。
そんな同馬が20年の初戦となった東海Sでは中位に控える競馬で好走。ひと味違う姿をみせた。第3コーナー付近から馬群の外側を回って位置取りを上げ、先頭には立てなかったものの、最後までしぶとく伸びた。
インティは実力はあるが、自分のリズムを崩すと力を発揮できない面があった。昨秋のみやこステークス(G3、京都ダート1800メートル)では、59キロという重い斤量を背負ったうえに、乗り慣れた武豊が米国遠征で代役の騎手が騎乗したとはいえ、速いペースの激しい先行争いに加わり、15着に大敗した。
東海Sにも、みやこS当時の先行争いの相手だったスマハマ(牡5、栗東・高橋亮厩舎)が出走していた。再び、速いペースに巻き込まれる懸念もあったが、スマハマらを先に行かせた。名手・武豊の手腕もあり、控える競馬でも崩れずに走った。戦法の幅が広がり、大きな収穫を得た。東海Sに向けた最終調整後に野中調教師は「調教に関しては大人になって、コントロールも付くようになってきている」と語っていた。レースでも成長を示したといえる。
フェブラリーSではさらに条件が良くなる。舞台の東京競馬場は左回りのコース。過去に左回りでは5戦して3勝、2、3着が1回ずつと安定した成績を残している。8戦して6着以下が3回もある右回りと比べると対照的だ。右回りの京都から東京に替わって前進が見込める。
過去、左回りで先着を許した馬はゴールドドリーム(牡7、栗東・平田修厩舎)とクリソベリル(牡4、同・音無秀孝厩舎)の2頭しかいないが、両馬は中東の国際レースに遠征する予定で、フェブラリーSには出走しない。連覇を狙うインティにとってはこれも好材料となる。
2日に行われた東京でのフェブラリーSの前哨戦、根岸ステークス(G3、ダート1400メートル)を快勝したモズアスコット(牡6、栗東・矢作芳人厩舎)あたりが連覇に向けた強敵になりそう。だが、地力の高さに加え、戦法の幅を広げたインティが優勝争いの中心となりそうだ。
(関根慶太郎)