團十郎襲名披露 興行の新しい形探る
今年5~7月に東京・歌舞伎座で行われる「十三代目市川團十郎白猿」「八代目市川新之助」襲名披露の演目が一部発表された。
市川海老蔵が團十郎を、長男の勸玄が新之助を襲名する。新しい團十郎は5月は「勧進帳」「助六」。6月は「暫」「勧進帳」。7月は「押戻し」「男伊達花廓(おとこだてはなのよしわら)」「山姥(やまんば)」「景清」「助六」に出演する。八代目新之助の登場は6月からで、この月は「外郎売(ういろううり)」に、7月は父とともに「山姥」に出演する。
大半が歌舞伎十八番の中の演目だが、八代目新之助は「外郎売」を明治以降では最年少の7歳で演じるという。昨年はこの演目に父らとの共演で「貴甘坊」として登場したが、6月は外郎売の役を一人で勤める。自身の襲名とはいえ小学2年生が2カ月連続で歌舞伎座に出演するのも異例で、海老蔵は「大変なことだが、本人にもやる気があったので決断した」と話す。
歌舞伎界最大の名跡ともいえる團十郎の襲名は、主催の松竹にとっても「これからの興行形態を考える機会」(松竹の安孫子正副社長)だ。従来は、1カ月興行を25日間連続、昼夜2部制、全50回を基本としていたが團十郎襲名披露では、7月は3部制で20日間の公演とする。5~6月の公演では1日ずつ休演日を設ける。昨年4月の働き方改革関連法施行への対応などによるものだという。1等席の入場料は5~6月が税込み2万3000円、上演時間が2部制より短くなる7月は、同1万8000円だ。
「十三代目市川團十郎」の後に「白猿」を入れたことも異例だが、これは七代目らが使った俳名。「先人に及ばない」という謙虚な気持ちを示す。海老蔵は「團十郎の名も、十二支を一巡りするように十二代目まで続いて私で十三代目になる。私の代で原点回帰したいという意味もある」と語った。
(瀬崎久見子)
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