前住職ら1億円超流用か 尾張徳川家ゆかりの寺
尾張徳川家とゆかりのある愛知県瀬戸市の「定光寺」で、前住職(75)と息子の前副住職(46)が檀家らから受け取ったお布施など計約1億1千万円を私的に使っていたとして、寺を運営する宗教法人定光寺が名古屋国税局から所得税の源泉徴収漏れを指摘されていたことが31日、関係者への取材で分かった。
追徴税額は重加算税を含め約4千万円で、寺は大半を納付した。定光寺を巡っては、国定公園内にある寺周辺の山林を違法開発したとして、臨済宗妙心寺派(大本山・妙心寺、京都市右京区)が2017年2月、前住職を辞めさせる懲戒処分にしていた。
関係者によると、13年7月~17年2月、戒名料など計7780万円と志納金60万円のほか、寺名義の預金から引き出された750万円の記載が帳簿になく、前副住職が私的に流用、給与に当たると判断された。
さらに、寺運営の霊園供養料230万円も無記載だったほか、寺が帳簿上、複数の清掃員に支払ったとする2240万円を架空の給与と認定された。
妙心寺派宗務本所によると、昨年12月に2人から事情を聴いたが、「適正に処理している」と私的流用を否定する一方、詳細な使途の説明は拒んだ。宗務本所は「寺に大きな損害を与えた。しかるべき対応を検討中」としている。
瀬戸市によると、定光寺は南北朝時代の1336年の創建とされ、本堂に隣接して尾張藩初代藩主の徳川義直の廟(びょう)がある。〔共同〕