卓球女子、黄金世代に続くホープ パリ五輪へ競う
1月24日に卓球Tリーグが開催された五月山体育館(大阪府池田市)で、平野美宇(19、日本生命)と早田ひな(19、同)の2人が、観客に感謝の言葉を述べた。平野は1月初めに東京五輪の女子団体代表に決まり、早田は同中旬に大阪で開かれた全日本選手権でシングルス、ダブルスの2冠に輝いたばかりだ。
「この夏、最後に笑顔で終われるよう頑張りたい」と平野。早田も「皆さんの応援にパワーをもらった」と呼びかけた。ファンとの距離が近いTリーグならではの心温まるシーンだ。
東京五輪で団体、シングルス、混合ダブルスに出場予定の伊藤美誠(19、スターツ)も、この2人と同学年。早田は五輪代表を逃したが、平野、伊藤に続いて全日本女王に輝き、「黄金世代」の面目躍如を果たした。
戦術の幅が広い伊藤、高速卓球の平野、力強いドライブが武器の早田。持ち味は三人三様ながら互いに競い、力を伸ばしてきた。だが、4年後のパリ五輪を考えると、下の世代にも3人を脅かしそうなホープは多い。
昨年12月に日本人初の世界ジュニア選手権女王となった長崎美柚(17、エリートアカデミー)、昨年の全日本選手権準優勝の木原美悠(15、同)は、Tリーグでも初年度から参戦して活躍。2人はダブルスも強く、昨年12月のワールドツアー・グランドファイナルで優勝した。
現在、中学3年の木原は兵庫県明石市出身。東京で寮生活を送る。ラリー力に優れる木原は、長崎とのペアの良さを「自分は守備型。長崎さんは攻撃で、どんどん打つ。できること、できないことを補える」と語る。
今年の全日本選手権のシングルスでは、中学2年の小塩遥菜(14、同)も木原とともに8強入り。バックハンドで強烈な回転をかけるカットが武器だ。準々決勝で敗れた伊藤を「思い切りが良く、戦術転換がうまい」と尊敬の眼差しで見つめる。
小塩は昨年12月、Tリーグの日本ペイントに加入した。デビュー戦は日本生命との大阪ダービー。シングルスで惜しくも敗れたが潜在能力の高さを随所で見せ、貝塚市立総合体育館(大阪府貝塚市)の観客を沸かせた。
この試合では日本生命の赤江夏星(15、貝塚二中)もデビュー。前田美優(23)とのダブルスで逆転勝ちした。神戸市出身で、木原と同じ中学3年。村上恭和総監督が率いるジュニアのアカデミーに所属し、日本生命と同じ体育館で練習に励む。
早田らの不在で得た出番を生かした赤江は「最初はすごく緊張したが、終盤は自分のプレーができた」。こうした10代半ばの選手の躍動を見ると、将来への期待が膨らむ。
(影井幹夫)