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紅白戦で死球続出 なれ合い無用だった広岡西武

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1985年の西武の春季キャンプ。中日から移籍したばかりの私は左腕の小田真也から紅白戦で死球を受けた。シーズンに向けてお互いにけがなく乗り切りたい時期だけに、厳しい内角攻めに面食らった。

ただ、左手に当たったのは私の体の開きが早かった証拠。しっかり対応していれば、よけられたか、当たっても背中で済んだ。よけることに自信があり、プロ16年間で受けた死球が13個しかなかった私が手に受けたのはこの時だけ。中日時代の名残で、まだ2月だからとのんびり構えて体が仕上がっていなかったことが災いした。

大人の集団、死球4つに文句も出ず

驚いたことに、この時の紅白戦では4つの死球が出た。当時の西武は若い選手が次々に台頭し、1軍入りを巡る争いが激しくなっていた。普通ならオープン戦で首脳陣にアピールするところだが、紅白戦で結果を出さなければオープン戦にも出られない。どの投手も生き残りを懸けて本番さながらの投球をした結果が、紅白戦では異例の死球続出。そこで野手陣が誰一人として文句を言わなかったところは、さすが広岡達朗監督率いる大人の集団だった。「このチームはすごいな。なれ合いでやっていないな」と思った。

この年のキャンプで一日の始まりを告げたのが秋山幸二の特打ちで、皆が球場に到着したころには既に打ち込んでいた。私も参加したことがあるが、毎日のように早出を続けたのは秋山だけ。前の年に引退した田淵幸一さんの後継者と見込んだ打撃コーチの長池徳士さんが、広岡監督に日々の特訓を願い出たのだろう。それにしてもよくあの猛練習に耐えられたと思う。84年にわずか4本だった秋山の本塁打がこの年、一気に40本に増えた背景にはたゆまぬ打ち込みがあった。

プレーの引き出しを増やすのもキャンプの大事な要素だ。広岡さんが監督の時の西武は、バントでもセーフティーバント、プッシュバント、一塁側に転がすか、はたまた三塁側かで全てサインが違っていた。送りバントでは、初めからバントの構えをした方がいいのか、ヒッティングの構えからバントに切り替えた方が相手にプレッシャーをかけられるのかが状況によって異なる。構えだけでなく打球の強さや方向を自在に変えられないと作戦の幅が狭まるため、誰もがどんなバントもこなせるようキャンプで徹底的に練習した。

走塁で次の塁に向かうか、帰塁するかの判断力を養うのもキャンプだからこそできること。ここで突き詰めた練習をしないとシーズンでしっぺ返しを食うことになる。そのことを考えさせられたシーンが2019年にあった。

6月5日、ロッテとの交流戦で1点差を追う阪神の九回1死三塁の攻撃。高山俊のライナー性の飛球が左翼手に好捕され、三塁走者の植田海が戻れず併殺、試合終了となった。この時、ベンチが植田に出したサインは「投球がバットに当たった瞬間にスタート」。その通りにプレーしたということで、矢野燿大監督は「俺がそういう指示を出しているんでね」と植田を責めなかった。

ギャンブルスタートでなく自滅行為

バットに当たった瞬間に走り出すギャンブルスタートは、ゴロが内野手の正面に飛んで三塁走者が本塁で刺されるリスクを覚悟で敢行するもの。あくまでゴロの場合に限ったもので、飛球やライナーであれば走者は直ちに元の塁に戻らなければならない。ところが、植田は打球が上がってもそのまま本塁に向かい、戻ろうとする気配さえなかった。ダイレクトで捕球される恐れがあるのにそのまま突っ込んでいくのはギャンブルとはいえず、自滅行為にすぎない。

この時、ロッテの左翼手はダイビングキャッチをした。ということは、ゴロでないと分かった時点で植田が素早く帰塁していれば、その脚力からしてタッチアップから同点のホームを踏めていた可能性が高い。負けが引き分け、さらには勝利に転じたかもしれないことを考えても、つくづく悔やまれるミスだった。

「当たった瞬間にスタート」のサインに「飛球かライナーなら直ちに戻る」というただし書きがついている以上、植田の今年のキャンプでの課題は明白。打った瞬間の打球の角度から、進むか戻るかを素早く見極める訓練を積むことだ。ゴロならスタート、飛球なら外野手の守備範囲に向かっているのか、外野の間を抜けようとしているのかをいち早く判断する。原則を知らないがために凡ミスをするようでは、どれだけ足が速くても宝の持ち腐れ。正しい判断に基づく本当の「走力」を身につけてほしい。

矢野監督にも厳しい姿勢が求められる。飛球で先の塁へ突っ込むことを容認しているようでは困る。上司が部下を叱りにくい風潮が広がっているのは球界も同じだが、若者が間違ったときに年長者が正しい教育をするのはいつの時代も大切なはず。その「正しさ」の確たる基準を持ち、コーチや選手をしっかり教育していたのが広岡さんだった。

首脳陣に細やかさがあるだけでチームは変わっていくもの。打力や投手力の底上げはもちろんだが、首脳陣が胆力をつけることもキャンプの大きなテーマといえる。

(野球評論家)

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