西武園ゆうえんち、「1960年代レトロ」に 2021年改装
西武ホールディングス(HD)は23日、2021年に改装開業する西武園ゆうえんち(埼玉県所沢市)のテーマを「1960年代の懐かしさ」に設定すると発表した。来場客が低迷する西武園ゆうえんちを、約100億円を投じて改装する。ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)を再建した森岡毅氏が率いるマーケティング会社の刀(東京・港)と組む。
今年開業70周年を迎える西武園ゆうえんちの再生に向けた改装のコンセプトは「心あたたまる幸福感に包まれる世界」。リニューアルで装いを新たにするが、あえて近未来ではなく過去を感じさせる施設にする。
園内には60年代の街並みを再現し、入場客を迎えるキャストとも60年代当時の感覚で交流できるのが特徴。刀の森岡最高経営責任者(CEO)は「おせっかいな街の人との交流など、人情味あふれる世界が体感できる」と説明した。構想は2年間かけ練ったという。
家族3世代や若者など、幅広い世代の集客を見込む。刀によると「60年代の懐かしさ」は年配だけでなく若い世代にも刺さるという。「デジタルの刺激に慣れた世代にとって、昭和の人間同士の温かい交流は非日常体験として面白がられる」(森岡氏)。西武園ゆうえんちのレトロなイメージを壊さず、より特徴的な世界観を構築する。
会見で公開したイメージには、昭和の駄菓子屋や居酒屋などを再現したデザインが描かれている。西武園ゆうえんちの既存のレトロなアトラクションを生かしつつ、先端技術を使ったアトラクションも新たに投入予定だ。詳細なアトラクションの計画は今後発表する。
西武園ゆうえんちはイルミネーションやプールが目玉だが、入場者数は低迷している。18年度は49万人で、88年度のピーク時の4分の1だ。西武HDの後藤高志社長は「西武園ゆうえんちの魅力を最大化させ、西武線全体の活性化につなげたい」と意気込んだ。
同社は西武園ゆうえんちにも近い所沢駅周辺で商業施設やメットライフドームなどの再開発を進めている。19年には池袋線などに大きな曲面ガラスや黄色い内装デザインなどが特徴の新型有料特急「ラビュー」も投入した。コト消費を追い風にレジャーを軸とした沿線開発を強化する。